続・おかしな目線で「未来につなぐ和の意匠力」展を楽しむ
今回も引き続き逸翁美術館で開催中の展覧会を、リトラ製の和菓子を交えて紹介していきます!
おかしな目線で「未来につなぐ和の意匠力」展を楽しむ(前編)はこちらです
※掲載写真は取材用として特別に許可を得て撮影しています。普段は撮影禁止です。
もののあわれに支えられた美意識
「静寂 せいじゃく」
閑寂だとマイナスな印象になるので、静寂という言葉を選びました
という前置きから紹介されたのは「月」「すすき」「鷺」などがモチーフとされる
クールジャパン的要素の高い作品でした。
左右対称のモチーフ(扇形)に対して織部を斜めに入れる遊び心と
風景をそのまま切り取った余白のある表現は世界的にも珍しいようです。
ヨーロッパ・イスラム・中国でも「植物」デザイン化されていますが
どれもきっちり対比の揃った反復の模様が多いとのこと。
お菓子にするときも蒸しまんじゅうの大きさに対して控えめに焼き印を入れ
余白を意識してみると、自然と茶席菓子のような仕上がりになりました。
不完全なものの面白さ(=詫び)や、鉄の錆のように時間を経て古びた変化(=寂び)を
美しいと感じる余裕があってこそ芸術が宿るのですね。
デザインが活性化する瞬間
「遊楽 ゆうがく」
これまでのテーマに対し「宴会好き」「派手好き」な国民性から発展した
作品の集まりが遊楽です。写真は江戸時代の作品ですが、古くない!カワイイ!
宴会などで人を「もてなす」場合、非日常感や今までに無いセンスが求められます。
そんなときに奇抜だったであろう表現が生まれ、新しい価値観になって発展していくのです。
▲乾山作 色絵の龍田川
金箔で色の境目が縁取られた本作は水洗いすれば金箔が少しずつ剥げるので
どう考えても日常には不向きですが、意匠の斬新さが江戸時代も多くの人に好まれました。
もともと和歌が有名なので「龍田川」という和菓子は少なくないのですが
こなし生地で作ってみると、この器の色味で仕上げるのが定番のように感じました。
※茶巾絞りがイマイチなのは多めに見てください!練習します!!
全体をとおして
「和の意匠」を眺めてみる
3テーマを通してみると、意匠は突然生まれるのではなく前にあったものを
リノベーションする中で形になり未来につながっていくことがよくわかります!
今回の紹介では「土」からつくる「器」と、「あん」からつくる「和菓子」って
感覚的には似ているのかも・・・?と、あえて「器」作品をピックアップしましたが
会場には「掛け軸」や「棚」など多岐に渡って展示されていますので、ぜひご覧ください!
One more「未来につなぐ和の意匠力」
●開催中(~2018年 5月6日まで)
●場所:逸翁美術館
●「池田」より徒歩10分
●H P:http://www.hankyu-bunka.or.jp/itsuo-museum/exhibition/1522/
※経路はgooglemapが選んだルートで、最適ルートと異なる場合があります。
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