韓国人スタッフ:
徐 締吝(そ ちぇりん)
私の母国の韓国では、「紅葉狩(もみじが)り」のことを「紅葉遊(もみじあそ)び」と呼び、古都・慶州(キョンジュ)をはじめ有名な紅葉名所も数多くあります。でも、韓国に住んでいた頃の私はまだ10代。紅葉遊びより、街中で友だちと遊ぶほうが好きでした。そんな私も日本に来て5年、そろそろ紅葉が似合う年頃かも!?
昨日はすごく晴れていたのに、一夜経った今日は、朝から雨が降っています。残念だなぁ。阪急長岡天神駅で電車を降り、光明寺行きの臨時バスを待っていると、人が次々とやって来て、私の後ろに並び始めました。今日は雨だし、しかも平日だからガラガラだろうと思っていたので、ちょっぴり意外。でも、光明寺に着いたとたん、その理由が分かりました。しっとり濡れた総門(そうもん)をくぐると、赤い落ち葉に覆われた石造りの参道(さんどう)が現れます。ぼんやり煙る石灯籠と、燃えるように赤い紅葉のコントラストは、まるで映画のワンシーン!! 華やかな舞台を演出するレッドカーペットのように、私を夢の世界へ誘います♪
2012年は紅葉の当たり年!?寒暖の差が大きく、10年に一度の鮮やかさになったとか
京都の八つ橋や抹茶のお菓子のように、日本にはご当地銘菓がたくさんありますよね。でも、韓国にはそもそも国内旅行でお土産を買う習慣がありません。代表的な観光地の済州(チェジュ)島や釜山(プサン)へ行っても、地元の名物料理を食べるくらい。ご当地キャラクターなどは見たことがありません。日本の感覚で、帰省するたびに友人にお土産を渡していたら「なんで毎回買ってくるの?」と聞かれてしまいました。
参道を上がった先に、光明寺の中心的な建物「御影堂(みえどう)」があります。今日、11月26日は西山浄土宗(せいざんじょうどしゅう)の流祖・西山上人(せいざんしょうにん)の命日。軒まわりには特別な日を表す五色の幕が張られています。お堂に上がると、ひゃっ、雨に濡れた足先が冷たーい! そろりそろりと歩き出して大きな法要が行われている一角を横切り、お線香(白檀<ビャクダン>)のいい香りに誘われるまま、さらに奥へ進むと白砂の庭「信楽庭(しんぎょうてい)」に出ました。辺りはしんと静まり返り、雨の音だけが聞こえます。ふと見ると、老夫婦が縁側に腰をかけ、ただ黙って庭を眺めています。静寂の中に佇む二人が世俗とは切り離れた別世界にいるように見えて、心にジーンとしみる光景でした。
信楽庭の白砂は修行僧が一人で2時間かけて整えるのだとか
住所:京都府長岡京市粟生西条ノ内26-1
電話:075-955-0002
※光明寺には駐車場が一切ございません。
公共の交通機関をご利用ください。
【紅葉の特別入山】
期間:要問合せ(※2012年度は11/17-12/9)
時間:9:00-16:00
料金:大人500円
今日の京都は寒かったですが、私の故郷のソウルはもっと寒いです。ソウルは北緯37度(日本の新潟、福島とほぼ同じ)ですが、冷たい大陸性高気圧の影響で、北緯40度以北の地域(日本なら北海道)と同じ亜寒帯気候。冬は鼻水が凍りつくほど寒くなります。でも、どの住宅も「オンドル」と呼ばれる床下暖房を標準装備しているので、家の中はいつもぽかぽかなんですよ。ちなみに私は、韓国で家にオンドルがないという人に出会ったことがありません。
湯葉や生麩などの京素材が楽しめる二段弁当
「紅葉重膳」は秋季限定(2,520円)
光明寺の総門を出て右へ進むと、合掌造り風の建物が見えました。今日のランチスポット「いっぷく亭」です。紅葉シーズン中はなかなか予約が取れない人気店なんですって。うーん、楽しみ♪ 2階の和室は落ち着いた雰囲気で、大きな窓からは美しく色づいた山景が望めます。予約した季節料理は、二段のお重にご飯とお汁がついたセット。彩りの美しいお料理には紅葉の葉が添えられていて、なんだか手を付けるのがもったいないくらい。 幾層にも重なった湯葉は口にするとほのかに甘く、上品な薄味で、とってもおいしかったです!
今日食べた季節料理もそうですが、日本には期限を区切った商品やサービスが多いですね。韓国には期間限定商品や期間限定メニューというものがほとんどないので、最初のうちは慣れなくて「限られた時期にしか買えないのは不便だなー」と思っていました。でも、旬や季節感、希少性といった付加価値を知ってからは、むしろ積極的に楽しめるようになりましたよ。
今日は月曜日で、しかもあいにくの雨模様ですが、それでも多くの方が観光に来られていました。
香川県から来たと思われる観光バスも見かけましたが、四国からわざわざ数時間かけて紅葉を見に来るなんて、日本の方にとって京都の紅葉は特別な存在なのでしょうね。そんな最高のスポットで、最盛期の紅葉を見ることができて、本当に良かったです!!(さっそく韓国の友人たちに写真を送って自慢しちゃいました♪)
徐 締吝(そ ちぇりん)
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