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阪急の活動レポート

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安全

阪急西院駅と嵐電西院駅の乗り継ぎをバリアフリー化

2021.06

バリアフリーは会社の垣根を越えて。

阪急西院駅と嵐電西院駅のバリアフリー化は、西院駅周辺地域の安全性と利便性向上に向けて、2014年に策定された「西院地区バリアフリー移動円滑化基本構想」に基づきスタートしました。

駅のバリアフリー化は、自社の駅施設を整備するだけで完結するとは限りません。西院地区のケースでは、地下駅である阪急西院駅と、地上駅である嵐電西院駅の高低差に加えて、両駅間の移動距離など、乗り継ぎ時の安全性と利便性に課題がありました。当社では、駅施設のバリアフリー化のほか、こうした両駅の乗り継ぎ時の障壁を取り除くという、一歩踏み込んだ取り組みにも挑んできました。

事業の実施にあたっては、鉄道駅総合改善事業費補助(※1)を活用し、国と地方公共団体から補助を受けた西院駅周辺地域整備協議会(※2)が事業主体となり、乗り継ぎの円滑化やバリアフリー化、地域貢献のための生活支援施設の整備などを行いました。

(※1)ホームやコンコースの拡幅等の駅改良、バリアフリー施設や生活支援機能施設等の駅空間の高度化に資する施設の整備に対する支援制度
 (※2)京都市や学識経験者、地域代表者、阪急電鉄、嵐電で構成

阪急西院駅東側の整備(2016年度完了)
- 今までにはない、一歩踏み込んだバリアフリー工事です! -

地下駅である阪急西院駅から地上駅の嵐電西院駅に乗り継ぐには、階段を上って地上に出た後、交差点を渡り、四条通に沿ってさらに200mほど歩く必要がありました。そこで、両社が所有していたビル(京福西院ビルと阪急設備ビル)を活用して、平面的に重なっている阪急西院駅東側と嵐電西院駅を上下で接続することで、地上での水平移動を大幅に省略する計画を立てました。

京福西院ビル側では、阪急が地下で京都河原町行きホームに新たに北改札口を新設し、嵐電は地上で嵐山方面ホームを工事に合わせて建て替えたビルの隣へと移設。このビルの建て替えに伴い設置したエレベーターで両駅のホーム及び地上を繋ぎました。

阪急設備ビル側はビルを改築してエレベーターを設置し、阪急が地下の大阪梅田行きホームと地上に新設した南改札口を接続。ビルの隣にある嵐電の四条大宮方面ホームとはスロープを通って乗り継ぐことができるようになりました。

東側の地下に改札口を設ける工事にあたっては、地下の阪急線だけではなく、地上の嵐電にも影響を与えないよう、地下掘削工事の際に仮設土留めの計画を徹底するなど、安全に工事を進めるにあたり常に注意や工夫が求められました。

地域にお住まいの方や駅を利用される方の安全性と利便性の向上を第一に考えた「一歩踏み込んだバリアフリー化」の象徴となる工事と言えます。

阪急西院駅西側の整備(2019年度完了)
- 難工事を乗り越え、バリアフリーと子育て支援施設を実現! -

整備前の阪急西院駅は、改札が駅の西側に一ヶ所しかなく、改札口前のスペースが狭いため、朝夕のラッシュ時は改札からホームまでの通路が混雑するという課題がありました。また、立地的な制約によりエレベーターが整備できなかったため、車椅子のお客様は駅係員の介助のもと階段昇降機をご利用いただくことが必要でした。

これらの課題を解決するため、駅東側の整備が完成した後、西側の工事にも着手しました。駅ビルの建て替えを行い、建て替え前は階段しかなかったビルの地下一階部分を大幅に増床し、地上にあった改札口を地下に移し、改札前に十分なスペースを確保。また、地上と改札階を繋ぐエレベーターと、上下線ホームと改札階をそれぞれに繋ぐエレベーター計3機を新設し、バリアフリー化を実現しました。加えて、建て替えたビルには、病児保育施設や診療所といった地域の子育てに貢献する施設を整備しました。

駅の利便性・安全性を高める工事なので早く完成させたいという思いもありましたが、日々お客様がご利用される駅の営業や周辺地域の活動を止めて工事を行うわけにはいきません。ホームとエレベーターを繋ぐ道路下の地下通路工事の際は、深夜に四条通や西大路通の車線規制を行って、限られた時間の中で少しずつ進めていきました。また、駅ビルの改築・改札口の地下化工事においても、毎日利用されるお客様の動線を確実かつ安全に確保することが地下駅という限られたスペースの中で求められ、様々な工夫や調整が必要とされました。

担当者インタビュー

お客様の利便性を最大限に。工事中の不便は最小限に。

阪急電鉄(株)
技術部(土木技術担当)

飯伏 将大(左)


技術部(建築設備担当)

坂下 寛明(右)

西院駅の整備において最も困難だったことは、西改札口からホームまでのバリアフリールートの構築でした。西改札口からホームまでの経路は、東・西及び南・北に走る大通りの交差点直下に位置しており、上下線の各ホームとエレベーターとを繋ぐ地下通路構築のための掘削時は夜中に大通りの車線規制を行い、限られた時間で少しずつ工事を進めなければなりませんでした。

また、京都河原町行きホームと改札階を繋ぐエレベーターのシャフト(竪穴状の空間)をつくるときは、ホームに降りる階段と線路構造物の間にしかエレベーター設置が可能なスペースがありませんでした。このスペースは非常に狭隘であり、階段の幅を半分にでも狭めれば容易に工事は行えますが、通勤・通学時間帯で乗降の多い駅なので、少しも狭めるわけにはいかず、その限られたスペースでなんとかして設置できるよう施工計画を立てて工事を行いました。

改札口の地下化を伴った阪急西院駅ビルの建替え工事においては、駅の利便性と工事を両立させるため、京都河原町行きホームから地上へ繋がる仮改札口を新たに設けた上で、駅ビルを大きく2つに分割し、半分は駅として機能しながら、半分は建替え工事を行いました。工事途中の改札口の切り替え以外にも、旅客トイレや駅の営業に必要な機能を維持するためには、部分的な小さな切り替えを何度も行いながら工事を進めていく必要がありました。

すべては工事中も駅を利用されるお客様にできる限りご不便をおかけしないため、そして工事後もお客様にとって使いやすい駅となるように。時間・空間・技術的に様々な制約や困難がありましたが、知恵を絞り、創意工夫をすることで乗り越えることができました。

西院駅は現在、西側と東側でバリアフリー経路の2ルート化を実現しています。建物の構造や周辺環境によってこの2ルート化が困難な駅が他にまだ多く存在します。これまでの経験やさらなる技術の向上によってこうした課題を一つひとつ解消できるよう、これからも取り組みを続けていきます。