
阪急電鉄株式会社
取締役社長 杉山 健博
平素から、当社の鉄道事業に対しご理解とご支援をいただき、誠にありがとうございます。
昨年は、大阪北部地震や西日本豪雨、台風21号など自然災害が相次いで発生し、当社もその影響を相応に受けました。当社では、役職員が力を合わせて、その影響を最小限に止めるべく最善を尽くしましたが、ご利用のお客様には列車の運休等によりご不便をおかけし、また避難誘導や情報発信などにおいても行き届かないところがあり、会社としても深く反省しております。これを受け、当社では、駅間停車時に最寄駅へより円滑にご案内できるようにするなど迅速な避難誘導を行うための様々な方策や早期の運転再開に向けた取組、またお客様への情報提供のあり方の見直しなど、できることから順に対策を講じているところであります。今後とも、安全・安心の確保はもちろんのこと、社会からの多様な要請にできる限り応えられるよう更なる改善に努めてまいります。
さて、当社では、これまでから輸送の安全確保を第一義に考え、経営トップが主体的に関わりながら、責任事故の撲滅に取り組んでまいりましたが、2018年度におきましては、駅ホームにおける安全性を向上させるため、当社線初の可動式ホーム柵を十三駅3・4・5号線に設置いたしました。また、老朽化した施設に起因する事故を未然に防止するため、駅・高架橋等の耐震補強やトンネル・架道橋等の補修など、各所で対策工事を推し進めました。
一方、ソフト面では、サポートの必要なお客様への従業員によるお声がけや見守りを徹底することにより駅ホームにおける安全性を一層向上させるとともに、緊急事態発生時の避難誘導訓練や想定を事前に伝えない異常時対応訓練の実施等を通じて、従業員の対応力・資質の向上に努めました。また、事故・インシデント等に繋がるヒューマンエラーを惹き起こさないよう、基本動作の励行や作業手順の厳守等を徹底する職場風土の醸成に取り組むとともに、絶対に事故を起こさないという強い信念を持った人材の育成に注力しました。
2019年度におきましても、決して現状に満足することなく、新たに策定した安全重点施策に基づき、鉄道輸送の安全性をスパイラルアップさせるよう、最大限の努力を払ってまいります。
そして、今後も皆さまのご理解とご協力を賜りながら、会社を挙げて、より充実した安全管理体制の構築に尽力し、さらに安全性の高い鉄道会社を目指してまいります。
この安全報告書は、鉄道事業法第19条の4項に則り、輸送の安全確保のための取組等を広くご理解いただくために公表するものです。皆さまにおかれましては、本報告書をご高覧いただき、忌憚のないご意見やご感想をお聞かせくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
2019年7月
