
1 列車非常停止ボタン
当社の全駅にお客様が軌道内に転落された場合の安全性向上対策として列車非常停止ボタンを設置しています。お客様が軌道内に転落された場合に列車非常停止ボタンを押していただくと、駅直近の信号機を赤(停止信号)にすることで運転士に異常を知らせるとともに、ATS(自動列車停止装置)ブレーキを自動的に動作させます。また、ホーム上では警報ランプが点滅するとともに、警報ブザーが鳴動し、乗務員や駅係員に対して異常の発生を知らせます。


2 転落検知マット・転落防止警告灯
転落検知マットおよび転落防止警告灯は車両とホームの隙間が広い箇所に設置しています。ホームに列車が停車しているときに、お客様が車両とホームの隙間から軌道内に転落された場合、ホーム上に設置した警報ランプが点滅するとともに、警報ブザーが鳴動し、乗務員や駅係員にお客様の転落を知らせます。


3 列車接近警告表示装置
列車接近警告表示装置とは、列車が駅に接近した時に、音声・音響・表示等により、列車の接近をより明確にお客様にお知らせするもので、ホームにおけるお客様と列車との接触事故を未然に防止します。

4 内方線付き点状ブロック
当社では全駅に内方線付き点状ブロックを設置しています。内方線付き点状ブロックとは、従来の点状ブロックに線状の突起が加わったもので、線状の突起がある方向が安全なホーム側を示しています。


5 くし状ゴム
ホームが曲線の駅では、列車とホームの隙間が広いところがあり、その隙間にお客様が誤って転落する事故を未然に防ぐため、当社では隙間が200ミリ以上ある乗降位置について、くし状ゴム(ホームの先端部分と列車との隙間を縮める樹脂製の部材で、先端がくし状になっている)を設置し、列車乗降時の安全性を高めています。


6 CPライン
CP(Color Psychology、色彩心理)ラインとは、お客様に視覚的・心理的にホーム先端部の危険性を認識していただき、ホーム内側への歩行を促すもので、2016年度の神戸線塚口駅、宝塚線石橋駅、京都線淡路駅に続き、2017年度は嵐山線嵐山駅で、2018年度は神戸線で3駅、甲陽線で1駅、京都線で7駅、嵐山線で2駅、十三駅3・4・5号線の試験設置を行いました。引き続き、効果を検証しながら他駅での導入時期を検討していきます。


7 ホーム頭端部固定柵
終端駅のホーム頭端部における軌道内への転落事故防止対策として、線路終端部側の列車の止まらない箇所への固定柵の設置を進めました。2017年度は、今津線今津駅、西宮北口駅、宝塚駅、伊丹線伊丹駅、甲陽線夙川駅、甲陽園駅、宝塚線宝塚駅、箕面線石橋駅、箕面駅、京都線河原町駅に設置しました。2019年度は梅田駅に設置する計画です。


8 可動式ホーム柵
可動式ホーム柵とは、ホームからの転落や列車との接触事故防止対策としてホーム上に設置される設備のことで、2018年度に十三駅の3・4・5号線に設置が完了しました。今後、神戸三宮駅への設置を計画しております。



1 障害物検知装置
障害物検知装置は、踏切内に取り残された自動車を検知して運転士に知らせるもので、ATS(自動列車停止装置)ブレーキが自動的に動作します。当社では自動車が通行できる全ての踏切(全262踏切中の206踏切)に障害物検知装置を設置しています。
障害物検知装置には、発光器と受光器間の光線が遮られることにより障害物を検知する光電方式と、踏切全体をレーザ光線でスキャンして、設定した範囲内に一定時間滞在している物体(1m角以上)を障害物として検知するレーザレーダ方式があります。


2 踏切未降下検知装置
踏切未降下検知装置は、何らかのトラブルで遮断桿が完全に降下しない場合、踏切直近の信号機を赤(停止信号)にすることで運転士に異常を知らせるとともに、ATS(自動列車停止装置)ブレーキを自動的に動作させます。
全線262箇所の全ての踏切に設置しています。

3 踏切非常通報装置
踏切非常通報装置は、踏切における異常の発生を運転士に知らせるもので、異常を発見された方にボタンを押していただくことにより、踏切直近の信号機を赤(停止信号)にし、運転士に異常を知らせるとともに、ATS(自動列車停止装置)ブレーキを自動的に動作させます。
全線262箇所の全ての踏切に設置しています。

1 列車の速度を常に監視しています
ATS(自動列車停止装置)とは、運転士のミスや錯覚等により、列車の速度が信号が示す制限速度を超えると、自動的にブレーキが動作して、列車を減速・停止させる装置です。当社では、信号が示す制限速度と列車の速度を連続的に比較することで、列車の速度を常に制限速度以下に保つ、より安全性の高い「高周波連続誘導式階段制御方式ATS」を1970年に全線に設置完了しています。

2 より保安度の高いパターン制御を導入しています
従来の高周波連続誘導式階段制御方式ATSに、新たにパターン制御を追加し、保安度を向上させています。パターン制御には、高速パターンと低速パターンがあり、高速パターンは踏切への過走防止対策や駅誤通過防止、低速パターンは終端部での車止め衝突防止として、保安度の向上を図っています。


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1 非常通報装置
車内で急病人や非常事態等が発生した場合に、お客様から乗務員に通報できるよう、全車両に非常通報装置を設置しています。また、新造車両や大規模改造を行った車両には、通報とともに直接、乗務員と通話ができる非常通話装置の設置を進めています。
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2 大型袖仕切り・縦手すり
万が一の急ブレーキ時に、お客様の転倒や衝突を防止するため、1000系及び1300系車両では座席端部の袖仕切りを大型化するとともに、縦手すりを設備しました。
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3 連結面間転落防止装置
ホームのお客様が、誤って車両の連結部から軌道内に転落することを防止するため、車両の連結部には「連結面間転落防止装置」を設置しています。
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4 運転状況記録装置
運転状況記録装置とは、列車の運行に関するデータ(時刻・速度・位置・制御・ブレーキ・ATSの動作等)を記録するもので、実施基準(「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の実施に関する基準)により設置が義務付けられています。
1 暴風雨への対応
台風の接近などによる暴風雨の際には、沿線に設置した雨量計や風速計、水位計等の情報及び気象庁の気象情報をもとに、各列車に徐行や運転停止等の運転に関する指示を行い、運行の安全を確保します。
さらに、2013年度からは民間の気象情報会社の情報を活用し、突然、非常に狭い範囲で発生する大雨にも可能な限り対応できるよう努めています。また、状況に応じて巡回点検を行うなど、危険な状態の早期発見に努めています。

2 第三者行為(テロ等)への対応
第三者行為(テロ等)による、社会的影響が極めて大きく、重大な事態が予想される場合や、その予告があり継続した警戒が必要と認めた場合、あるいは不審物・不審者の発見や被害が発生した場合には、巡回点検の強化や警察との連携強化など、そのレベルに応じた対応を行います。
また、全駅のホーム、コンコースには防犯カメラを設置し、さらなる犯罪の防止にも努めています。

3 地震への対応
当社では地震による被害をできるだけ少なくするため、緊急地震速報のシステムを導入しています。この緊急地震速報は、沿線で震度4以上の地震が発生すると予想される場合に、自動的に各列車に無線で緊急停止を指示するもので、列車を少しでも早く停止させることで、走行中の列車に対する被害を最小にとどめます。
また、当社が設置した地震計で震度4以上を観測した場合にも同様に、地震対象区間を走行する列車に対して運転指令者が緊急停止手配をとります。

安全性を向上させるため、PCまくらぎ化、合成まくらぎ化等の軌道強化を各所で進めています。PCまくらぎとは強度を高めたコンクリート製のまくらぎ、合成まくらぎとはガラス繊維を含んだウレタン樹脂製のまくらぎのことで、木製のまくらぎに比べ、耐久性や安定性が向上します。

1 電気設備の検査
< 1 > 信号設備、通信設備の検査
信号保安設備、踏切保安設備や列車無線などの保安通信設備は列車運行の安全を確保するために欠かせない設備であり、これらの機器は常に正常に動作していることが求められます。近年では、情報通信技術の進歩により設備が高度化しており、メンテナンスを担当する社員には高度で幅広い技術力が要求されます。教育や訓練等を積み重ねた社員が昼夜点検し、輸送の安全を確保しています。


< 2 > 電力線路設備、変電所設備等の検査
電力線路設備、変電所設備は電力会社から受けた交流電力を列車用の直流電力に変えて列車に供給する設備、あるいは交流電力の電圧を下げて信号や踏切、放送等の運転保安設備・案内設備や、駅舎での照明やエレベータ、エスカレータ、駅務機器、空調機等へ電気を供給する設備であり、昼夜問わず正常な動作が求められる重要な設備の一つです。いずれの設備も、高電圧を扱ったり、高所作業が伴うため、高い技能を有する社員が確実に点検し、輸送の安全を確保します。

電気設備の検査や保守に使う車両
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●信通検測車
列車の安全運行を守る信号保安設備の検査(信号・踏切等のデータ測定、レールに流れるATS信号の測定)や補修時に使用します。
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●架線作業車
列車や駅設備等に電気を供給する電力線路設備の保守検査や補修時に使用します。
2 軌道の検査
当社では、軌道の検査を、1年に一度行っています。
検査では、軌道の各部分の寸法が規程で定めている数値に対して異状がないかを1mm単位で確認します。また、レールやまくらぎなどの全ての軌道材料に問題がないかも、細かくチェックします。
さらに、線路巡視を全線で週1回以上行っています。日々の軌道状態や沿線状況の変化を把握し、安全輸送に支障があると判断した場合は、速やかに対策を打ちます。
保線を担当する社員は、毎日多くの列車が通行する軌道を常に良好な状態に保ち、お客様に安全・安心な輸送と快適な乗り心地をご提供するために、縁の下の力持ちとして日々目を光らせています。


軌道検査や軌道保守工事に使う車両
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●軌道検測車
軌道のゆがみや凹凸を高い精度で測定し、異常がないか監視しています。測定されたデータは軌道の補修、更新作業に活用されます。
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●レール削正(さくせい)車
列車の走行安全性と乗り心地を向上させ、レールの寿命を延伸するため、摩耗で変形したレール表面のわずかな凸凹や傷等を走行しながら砥石で削り、レールの形状を再生します。
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●マルチプルタイタンパー
列車の走行安全性を向上させ、列車が走行する際の騒音や振動を低減するため、道床バラスト(まくらぎの下に敷いた砕石)をつき固めて、軌道のわずかなゆがみを整備します。
3 構造物の検査
当社では、土木構造物の検査を実施しています。
構造物検査は、2年に一度全ての構造物を点検する通常全般検査、20年に一度の特別全般検査、その他適宜行う随時検査などがあります。線路を支えている土木構造物は高架橋、橋梁、盛り土、トンネルなど様々な形式がありますが、これらの構造物は常に電車が安全に走行できるような状態に保たなければなりません。したがって、各種検査を通じて発見した変状・異状については、優先順位をつけて補修工事を行っています。また、電車の走行安全だけでなく、沿線にも問題を生じさせないよう、構造物の下を人や自動車が通行する場所等では、特に注意して検査と対策を行っています。

4 車両の検査
< 1 > 列車検査、状態・機能検査
当社では、各車庫において、各営業線の車両を10日を超えない期間ごとに列車検査を実施し、ブレーキ装置、制御装置等の主要部分を点検します。また、3か月を超えない期間ごとに状態・機能検査を実施し、各機器の状態や機能の動作を目視によって検査します。

< 2 > 重要部検査、全般検査
正雀工場と各車庫では、4年または走行距離が60万kmを超えない期間のいずれか短い期間ごとに、主電動機、走行装置、ブレーキ装置等重要な装置の主要部分を検査する重要部検査と、正雀工場では、8年を超えない期間ごとに車両全般を検査する全般検査を実施しています。

高架橋やトンネル等の土木構造物の老朽化については、構造物の異状により列車をご利用のお客様や通行人の方に影響を及ぼすことのないよう、定期的な検査を確実に実施するとともに、検査によって発見された変状について必要な措置を行っています。また、優先順位をつけて、落下物を防止するための対策工事を進めています。
車両の老朽化についても、順次、車両の新造やリニューアル工事により、車両の若返りを図ると共に、重要部位である台車枠については工場での重要部検査・全般検査時に磁粉探傷検査を行い、亀裂等の不具合を早期発見し、補修を行うなど必要な対応を行っています。


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1 睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策を
行っています運転士や監督者等、列車を運転する全ての係員は、定期的に睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニング検査を受けています。精密検査で治療が必要と診断された者は、医師による治療を受ける体制をとっています。
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2 乗務前に
アルコールチェックを行っています運転士や監督者等、列車を運転する全ての係員は、乗務前の出勤点呼において、アルコールチェッカーを使用して、酒気を帯びていないことを確認しています。また、監督者が対面点呼を行い、健康状態を確認しています。
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1 運輸部教習所・
人材育成センター当社は、動力車操縦者(運転士)や車掌・助役等を養成する教習所(国土交通省認定)と、駅係員を育成する人材育成センターを設置しています。
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2 社員を対象とした
安全講習会・安全セミナーの開催輸送の安全をテーマに、社外から講師を招いて講演会やセミナーを開催し、社員の安全意識の高揚を図っています。
3 過去の事故や災害を学ぶための安全考学室
2009年5月、運転士や車掌等を育成する教習所に、過去の事故を学ぶ「安全考学室」を設け教育を行ってきましたが、全ての社員がこの安全考学室での教育を終えたことを機に、2017年11月、全面的にリニューアルを行いました。


宝塚線平井車庫において、豊中市、高槻市、吹田市、茨木市、摂津市、川西市、島本町、豊能町、猪名川町の各消防本部と合同で救助活動中の安全対策や車両の知識について勉強会を開催し、勉強会終了後には、合同で事故復旧訓練を実施しております。
沿線の小学校を訪問して、踏切の仕組や正しい渡り方、ホームで電車を待っている時の注意点、車内でのマナー等に関する安全啓発活動を実施しています。
「踏切事故防止キャンペーン」を実施し、踏切を通行するドライバーや歩行者に対して安全確認の協力を呼びかける等、自動車等の直前横断、無謀通行、運転操作の誤り等に起因する踏切事故の防止に取り組んでいます。
経営トップである社長及び都市交通事業本部長(安全統括管理者)が、現業部門の巡視を行い、各設備や業務の状況を確認・把握を行います。また、社員との意見交換の場を設け、一つ一つの意見や質問に対して丁寧に答えるとともに経営トップ自らが直接メッセージを伝えています。


鉄道運行の安全を維持向上させるには、現業における各部門の意志疎通と連携が不可欠です。
神戸線(西宮)・宝塚線(十三)・京都線(正雀)の地区別に、運転・土木施設・電気施設・車両の担当者が集まるミーティングを定期的に開催し、様々な意見や情報の交換を行っています。


社員の技術をより一層向上させ、お客様に高いサービスをご提供するため、各部門で、運転業務研究発表会、保線作業コンテスト、変電技能競技大会、作業用機械脱線復旧訓練、車両技術審査会等の取組を行っています。


お年寄りやお身体の不自由なお客様を迎えるため、バリアフリー設備等、ハード面の充実に取り組んでいます。また、ソフト面では「おもてなしの心」でお客様に気持ちよくご利用いただけるよう従業員教育に取り組んでいるほか、介助の知識と技能を認定された「サービス介助士」資格の取得にも取り組んでいます。駅をご利用の際には、駅係員に気軽にお声掛けください。


