中国人スタッフ:
張 翔(ちょう しょう)
毎年10月22日に行われる「時代祭」は、葵祭、祇園祭と並ぶ京都三大祭のひとつ。全長約2kmにおよぶ約2000名の大行列が、平安・延暦時代(782年-806年)から明治維新(1868年以前)まで各時代の装束を再現するのだとか。私は関西に住んで6年半になりますが、見物するのは今日が初めてです。楽しみだなあ!
座席から手を振る京都府知事(右)と
京都市長(左)
阪急烏丸駅から地下鉄に乗り換えて、京都御所の最寄り駅、丸太町駅へ。平日にもかかわらず、巡行コースの沿道には既に人垣ができていました。大勢の人がカメラを構えて待っている様子を見ると、いかに人気のイベントなのか分かります。私は、神戸まつりのパレードを見たことがありますが、まったく雰囲気が違いますね。あちらは現代的で賑やか、こちらは歴史ある神事という印象です。さあ、私も丸太町通の南側に移動しカメラを構え、あとは行列を待つばかり。あ、見えてきました!! 最初に姿を現したのは、京都府警の騎馬警官。凛々しい制服姿でパレードを先導します。続いて、京都府知事と京都市長が馬車に乗って登場。要人を擁する名誉奉行(めいよぶぎょう)の一行が過ぎたら、いよいよ時代行列のスタートです。
時代祭の光景で驚いたことがあります。それは、京都府知事と京都市長が、行列に加わっていることです。私の母国・中国では、市長は厳重なセキュリティの下で保護され、外出時には専用の防弾仕様車に乗ります。時代祭の名誉奉行のように、要人が至近距離で一般市民とふれあうことは、中国ではあり得ないことです。
時代行列のトップを飾るのは、明治維新です。横笛と小太鼓の「ピーヒャーラ、ドンドンドン♪」という官軍マーチとともに、維新勤王隊がやって来ました。先頭は約20名の鼓笛隊。その後ろに、左手で銃をかかえた約30名の鉄砲隊が続きます。この隊列は、1868年に83人の勤王派の農民によって結成された義勇隊・山国隊(やまぐにたい)がモデルだとか。戊辰戦争(ぼしんせんそう)という内戦に勝って帰郷する際に、錦の御旗(にしきのみはた)を立てて鼓笛を奏した史実に基づくそうです。明治維新の次は、江戸時代、安土桃山時代、室町時代…と日本史の時代区分を1つずつ遡ります。各時代の装束をまとった人々が、足並みを揃えてゆっくりと行進する姿はとても壮観で、迫力たっぷりでした!
10代、20代の若者たちが勤皇の志士に扮し、菊の紋が入った錦の御旗を立てて行進
今日の京都は、空を見上げると抜けるような青一色でした。私の故郷・天津(てんしん)の空はいつもどんよりと曇っています。澄んだ青空が見られるのは、1年間にわずか2~3週間だけ。しかも、2月から4月までは黄砂が多いので、みんなマスクを着用します。日本は空も、空気も美しく、すばらしいですね。
時代祭を十分に楽しんだので、そろそろ昼食をとることに。南西へ向かって歩いていると、レンガ造りの建物に行きあたりました。烏丸御池にある商業施設「新風館(しんぷうかん)」です。3階のレストランに着くと、時刻は13時40分。ランチビュッフェにギリギリ間に合いました。旬の京野菜を使った一品料理の数々を、バイキング形式で好きなだけ堪能できるので、食べることが大好きな私には嬉しいかぎりです。あれもこれも盛り付けて…、では、いただきまーす!メインの鶏肉はやわらかくてジューシー。ポテトサラダも大根の煮物も中華風春雨炒めも、どれを食べても例外なくおいしい。中でも豆腐は絶品ですね。普段スーパーで売っているものとは味も食感も違い、まるで濃厚なプリンのよう。和風ドレッシングをかければ、大豆の香りが一段と際立ちます。ああ、もう一度、食べたいなあ!
メインは5種から1つを選択。
おかず、サラダ、デザート、ドリンクは取り放題
住所:京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2 新風館3F
電話:075-257-8058
営業時間:11:00-23:00(LO22:00)
※ランチビュッフェ:11:00-14:00(90分)
定休日:不定休
今回のビュッフェもそうでしたが、日本では、座席にカバンを置いたまま平気で席を立ちますよね。今はもう見慣れた光景ですが、私が初めて日本に来たときは、カルチャーショックでした。なぜなら、天津のファストフード店でカバンを置いたままカウンターに行こうものなら、すぐに盗まれてしまいますから…(悲)。
今日は、時代祭を通して日本史の一端にふれることができ、たいへん良い経験になりました。平安京は唐時代(中国)の長安を手本にしたと言われますが、京都市内の道路がマスのように整然としているのを見ると、確かにその通りだと感じます。首都の造りは同じなのに、中国とはまったく違う日本独自の風俗・文化が確立されていることに感動を覚えました。今後も、時代祭のようなイベントがあれば、ぜひ行ってみたいと思います。
張 翔(ちょう しょう)
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