中国人スタッフ:
張 敏(ちょう びん)
日本の春の風物詩「お花見」。中国にも桜は咲いていましたが、花を愛でながら散歩をしたり宴会をしたり、そういった文化はありませんでした。今日は、2㎞に渡り、疏水沿いに桜が咲き誇る「哲学の道」と、廃線跡に桜のアーチが続く「インクライン」に行ってきます。息をのむほどの美しい景色だそうで、とても楽しみです♪
今日は4月だというのに、少し肌寒いお天気。今にも雨が降りそうで、ちょっぴり残念。阪急河原町駅から市バスに乗り、銀閣寺道で下車。こんな天気だし、観光客も少ないだろうと思っていましたが、バスを降りた途端、驚いたのは人の数。大勢の観光客が訪れていました。でも実際に自分が歩いてみると、その理由がわかります。艶やかな色に染まった桜のアーチが延々と続き、そばを流れる清流に舞い落ちた花びらが、水面を淡いピンクに染めています。なんて美しい光景なんだろう・・・。桜は品種によって色が異なるそうで、薄いピンクや濃いピンクなど、自然が作り出したコントラストを楽しむこともできます。1時間近く歩いたでしょうか、時間を忘れるほど、美しい小径を満喫できました。
バスに乗る前に河原町駅に新しくできた「阪急京都 観光案内所」に立ち寄りました。
中国には「桜花雨」という、風が吹き、桜が舞い散る様子を表した言葉があります。日本では「桜吹雪」というそうで、国によって表現が違うことを初めて知りました。
私は、咲いている桜ももちろん好きですが、宙に舞っている桜が一番好き。この日も何度か強い風が吹き、華やかな桜の雨を体験でき、とても気持ち良かったです!
哲学の道を抜け15分ほど歩くと、蹴上のインクラインに到着しました。ここは昔、船の運搬に利用されていた線路だそうで、レールの上を歩くことができます。レールの両側には桜が咲き誇り、まるで薄紅色のトンネルをくぐり抜けるように、桜を愛でることができる特別な場所。全長582メートル続くインクラインは、「素敵」とか「立派」とか、そのような言葉では表現できないほど、本当に別世界にいるような光景でした。ここにいるだけでストレスが消えていくようで、不思議な体験ができました。いつかこの辺りに家を建てて、恋人と一緒に暮らしてみたいなあ。
お花見は、春のイベントとして日本では有名ですが、中国にはそのような習慣がありません。小学生の頃、山へハイキングに行った際に、リンゴの花や、杏の花、桃の花など、自然の花を時々眺めていたくらい。日本に留学して初めて、大学近くの桜並木で友達とお花見を体験し、新しい文化に触れたような感覚で、とても新鮮だったのを覚えています。
春の趣を感じながらのんびり散策した後は、つけ麺で有名な「名代おめん」でランチタイム。今日は少し寒かったので、温かいうどんが付いた季節のセットを注文。風情ある上品な器で運ばれてきたうどんは、小麦の風味豊かな麺と、あっさりとしただしの相性が抜群で、美味しくいただくことができました。薬味として、大根、白菜、きんぴらごぼう、スナップエンドウなどを、だしの中に加え、うどんと一緒に口に入れた瞬間、薬味の風味が広がって、まったく別の味を楽しむことができます。セットで付いてきた豆乳の温奴や、鯛とワラビの赤梅酢掛、ふきのとうの味噌添えなどにも、竹の子や菜の花、みょうがなど旬の野菜がたくさん使われていて、春の味を満喫できました。別の季節にまた来てみたいですね。
- ゴマやきんぴら、エンドウなどの薬味をお好みで♪
春の食材がふんだんに使われた季節のセット2,100円
私の故郷・西安では、うどんに似た米皮(ミッピー)という食べ物があります。
米粉が入った平太麺で、野菜や醤油、黒酢などを加えて食べます。だし汁に浸した麺ではなく、スパゲティのようにそのままツルツルといただきます。麺は薄いので、日本のうどんとは違う独特の食感。ぴりっと辛めの味付けが、私の好みです。6年前に友人と初めて食べて以来、すっかり好きになった私。今でも中国に帰ると、絶対に食べに行きます。
艶やかな薄紅色に染まった京都を十分に堪能でき、今日は素晴らしい1日になりました。
哲学の道やインクライン、その道中、南禅寺にも立ち寄り、さまざまな桜の姿に感動。同じ桜でも、見る場所によって、こんなにも違った感情になるんだと驚きもいっぱいです。また咲き誇る雄大さや、散りゆく桜の可憐さ、両方を体験でき、日本人が桜を愛する気持ちがすごく理解できました。
張 敏(ちょう びん)
寺院・神社、店舗、施設等に関しては、掲載の各スポットへ直接お問い合わせください。