韓国人スタッフ:李 政祐(い じょんう)
時代劇の撮影が行われる東映太秦映画村の近くに、戦国武将の鎧の着付けを体験できる施設「高津商会」があります。映画やドラマで使用されている甲冑や刀剣を身につけることができるそうで、今日は本格的な武将体験をレポートします。
阪急西院駅から市営バスに乗り換えて約20分、太秦開町というバス停で降りると目的の高津商会があります。建物の外観は、武将体験ができるとは思えないような一般的なビル。案内された3階の着付け部屋には、映画やテレビの中でしか見たことのない甲冑や刀がずらり。徳川家康、織田信長、真田幸村、武田信玄、本田忠勝、平清盛など有名な武将の個性的なデザインの甲冑が並びます。目の前で本格的な鎧を見るのは初めてで、その厳かな雰囲気に圧倒されました。好きな鎧を選べると聞き、私は大河ドラマで人気がある黒田官兵衛の鎧を身につけることに。専門のスタッフの方が2人がかりで着付けてくれます。まず軽衫(かるさん)という袴と小袖に着替えます。次に脛当(すねあて)、籠手(こて)、胴と着付けていただき、兜をかぶり刀や鉄砲を装備すると完成。当時の鎧を鉄製の素材で再現しているので、ずっしりとした重さがあります。戦国時代の武将は、こんな重い鎧で合戦をしていたなんて信じられませんでした。
- お子様用の鎧もあるのでご家族で楽しめます。
料金:4000円~
「愛」の兜でおなじみの直江兼続の甲冑
住所 : 京都市右京区太秦西蜂ヶ岡町13番地
電話 : 075-882-7866
Mail : busho@kouzu.jp(要予約)
時間 : 9:00~17:00
料金 : 5000円~(※鎧によって異なる)
日本に織田信長や豊臣秀吉などの有名な武将がいたように、韓国にも三国時代(6世紀後半~7世紀ごろ)の新羅(しらぎ)に”金庾信”という武将がいました。新羅による朝鮮半島統一の立役者で、指揮能力が高く一流の戦略家として名をはせた武将です。韓国の映画やドラマなどにも登場し、多くの役者が金庾信を演じています。
着付けの部屋の隣には撮影スタジオがあります。セットも本格的に組まれていて、龍と虎が対峙する迫力のある屏風や、金箔で豪華絢爛の屏風、合戦を指揮する出陣場所をイメージしたセットなど、自由に撮影場所を選ぶことができます。戦国武将の鎧に身を包むと、自然と表情も凛々しくなります。槍を構えて撮影をしたり、戦国武将らしく大きく股を広げて撮影をしたり、さまざまなポーズで撮っていただきました。また、いかにも戦国時代らしい荒々しい雰囲気の海や桜吹雪などを背景に設定し、合成写真を撮ることもできます。写真データはもらえるので、年賀状や結婚式の招待状など、自由に使っても良いそうです。撮った写真は早速SNSに掲載して、友人たちに自慢したいと思いました(笑)。
- 扇子を片手に優雅に武将気分
韓国にも太秦映画村のような時代劇を撮影しているテーマパークのような場所があります。運が良ければ、映画やドラマの撮影現場を見れますし、俳優さんに会えることも。
しかし、韓国では高津商会のような本格的な戦国武将の着付け体験をできる所は、私の知る限りではありません。そのような意味でも今日、武将の衣装を着られたことは貴重な体験になりました。
お腹もペコペコだったので夕食をとれるお店を探すことに。高津商会から徒歩1分の所に、沖縄・琉球料理と京料理を楽しめる「にんじん食堂うずまさ」があります。建物の外観は民家そのもので、一見お店かどうかもわからないほど。沖縄にまつわる郷土品やお酒がずらりと陳列された店内は、ゆったりとした音楽が流れていて、とても心地よい空間です。オーナーご夫妻にお話を聞くと、以前は沖縄で出店されており、数年前に京都に移り住まれたとのこと。席に着くと、事前に予約していた「こがね御膳」が運ばれてきました。若鶏のささ身に黒ごまをまぶして蒸した「ミヌダル」や、沖縄版がんもどき「うじら豆腐」など、沖縄と京都の融合料理が20品目以上揃ったコース料理です。テーブル一面に料理が並び、どれから食べれば良いか迷うほど。コースの中には京風にアレンジされたお節料理や沖縄風のデザートもあり、大満足のディナーになりました。
- こがね御膳 ¥3000
伝統的な沖縄の古酒「がじゅまる」
日本料理も地域によって特色があるように、韓国でも地域によってキムチの素材や味が異なります。私の地元は港街で、牡蠣などの海産物がキムチの材料としてよく使われます。
また気温の高低によってもキムチに特色があり、例えば気温の高い南部ではキムチの熟成が早いため、塩の量を多めにして熟成を遅らせます。一方、北部では塩の量を抑え、野菜本来の新鮮味を大切にします。
今日は鎧をまとい、まるで現代から過去にタイムスリップしたようでした。
また沖縄料理と京料理を同時に堪能できたことも貴重な体験です。
私が働く観光案内所でもお客様が来られたら、この日撮った写真を見せながら、
今日のコースをお勧めしたいと思います。
李 政祐(い じょんう)
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