
お正月に成人式と、日本文化に親しむことも多い1月。
京都の老舗が創る香りグッズや芸術のようなお寿司で、和の「雅」を堪能してみませんか。
住所:京都市上京区勘解由小路町164
電話:075-441-1123
時間:10:00~17:30、聞香ミニ体験は平日の10:30~、14:30~
料金:聞香ミニ体験1500円(要予約)
休日:お盆、12月29日午後~1月3日
烏丸駅から地下鉄に乗り、丸太町駅で降りて北へ徒歩約10分。室町通に「山田松香木店」があります。明和年間に創業し、香木そのものから、匂袋や線香、煉香などの香りを楽しむグッズまでを製造販売しています。さっそく「香」の字が描かれた暖簾をくぐると、甘い優しい香りがふわり。老舗らしい風格が漂いながらも、明るくて落ち着く雰囲気です。香木は種類・産地・味(香り)によって大きく「六国(種類・産地)五味」に分類されるそうですが、同じ種類・産地の木でも1本1本、香りが違うのだとか。良質の香木を育てるのには100年近くかかり、同じ香りには二度と出合えない…そんな奥深い話を聞いて、香木への興味がグンと高まりました。「香道」と聞くと敷居が高いイメージですが、店内には身近な商品もたくさん。季節の花木の形をした12カ月のお香「花京香」や、友禅や金襴を巾着に使った匂袋は、とっても優雅でキュート!お土産にもぴったりです。
山田松香木店でひと際目立っていたのが、小さな引き出しが並んだ箪笥。こちらには、質や形状などで分類された香木が入っています。これによく似たものを中国の漢方薬店で見たことがあると思ったら、実は山田松香木店は創業時に薬種業を営んでいたのだそう。中国の漢方と日本の香り文化のつながり、おもしろい!
店内を一通り歩いた後は、店の奥にある離れで聞香を体験。今回は貴重な香木の香りを聞くことができる45分間の「聞香ミニ体験」に参加しました。このコースは3つの香木の香りを聞いて、同じ香りなのか、違う香りなのかなどを聞き分けるゲームのようなもの。まずは店員さんがお香をたいてくれるお手前を見学。一つ一つの所作がキレイで、見とれながらも少し緊張が高まります。準備が整うと、いよいよ聞香にチャレンジ。茶道のように香炉の持ち方や顔の近付け方などの作法があって、詳しく教えてもらいながら進めるも、これがなかなか難しい!答えの書き方にも決まりがあり、見本にならって同じ香りの組み合わせによる記号とその名前を書きました。結果は…見事に正解!ホッとしました。伝統的な香道を楽しみながら体験できて、とても素敵なひとときでした。
仏教や古代中国の影響を大きく受ける日本の香り文化。かつて参拝した海南島の「南山寺」で、立派な仏堂やお香の香りで安らいだときの思い出が、今回の香り体験でよみがえりました。香りのチカラってすごいですね。
次の目的地は、室町にある大人気の創作手巻き寿司店「AWOMB(アウーム)」。正式には手巻き寿司ではなく「手織り寿し」のお店で、呉服屋さんが並ぶ室町通に店を構えたことにちなんでいるそう。町家を改装したという和モダンな店内で、テーブルに運ばれてきたプレートを見て感激!京やさいを中心とした季節のおばんざいと薬味などが盛られているのですが、華やかで繊細で、まるでアート。中にはマッシュポテトやもち豚のパテ、薬味・調味料としてアーモンドやガーリックなど、洋食の素材も。これらを海苔とシャリの上に自由に組み合わせて食べます。美しく盛り付けたおばんざいの組み合わせは無限大だから、迷いながら食べるのがまた楽しいところです。日本料理は目で食べると言いますが、本当にお腹も心もすみずみまで満たされました。具材は基本的に日替わりのため、その日その時にしか味わえない手織りすし。またぜひ行ってみたいです。
中国の北方地域で立春の日に食べるお祝い料理「春餅」も、好きな食材を乗せて食べる料理です。小麦粉で作った生地にいろいろな食材を組み合わせますが、定番の「春餅菜」と呼ばれる炒め物のほかに、ご当地料理と合わせて食べてもおいしいです。
お香の店も創作寿司も、伝統とモダンが融合した素敵な場所でした。京都は何度も訪れていますが、とても新鮮な出会いと体験ができたと思います。
朴 日花