
織物の街として栄え、今も「カシャンカシャン」と機織りの音が聞こえる西陣。着物文化が育まれた土地にふさわしい姿で、観光や食事を楽しんでみませんか。
住所:京都市上京区千本通一条上ル北伊勢殿構町675
電話:075-451-2151
時間:12:00~14:00、16:00~22:00、着物レンタルは9:00~19:00
料金:着物レンタル3400円※親子丼or焼鳥丼セットの場合4250円(赤だし、お漬物込み)
休日:月曜
今回の目的地は、古くより織物作りが盛んに行われている街・西陣。まずは、鳥料理専門店の「鳥よし」へ。こちらでは、着物文化普及のために2001年から着物レンタルも行っています。女将さんにあいさつをすませたら、早速着物を選びます。まずは、気になる着物と帯を選ぼうとするも、季節の花が描かれたものやモダンな柄のものなど、種類の多さに圧倒。ほかに、帯揚げや帯紐、散策用のカバンを何色にするか、頭を悩ませます。「この時季なら椿や梅の着物を」「帯揚げや帯紐は、帯の柄に入っている色を選ぶと似合うよ」など、女将さんにアドバイスをもらいながら、白地に椿の着物、朱色の帯、帯紐は金色と紺色を2本使いで、そして帯揚げは差し色で黄緑にすることに。襦袢と足袋を身に着ければ、あとは女将さんにお任せ!見る間に着物に変身することができました。最後に、髪をセットしてもらえば完成です。
韓国の伝統衣装には、正式には「韓服」という「チマ・チョゴリ」があります。現在では、お正月や家族の結婚式などで着るくらいですが、韓国では衣装をレンタルするお店がたくさんあり、チマ・チョゴリ姿の人が散策する姿をよく見かけます。
着物姿のまま、「鳥よし」から徒歩で10分ほどの「北野天満宮」をめざします。北野天満宮は、学問の神様・菅原道真公を祀る全国の天満宮・天神社の総本社であるとともに、梅・紅葉の名所としても有名です。驚いたのが、境内をすでに梅の花が彩っていたこと。今年は例年より早く、お正月ごろから開花したのだとか。思いがけず、色とりどりの花と甘い香りをサキドリすることができました。境内には、ほかにも見どころがいっぱい。たとえば、昔から伝わる「天神さんの七不思議」。その一つの「大黒天の灯籠」は、石灯籠の台座に大黒天が刻まれ、その口にのせて落ちなかった石を財布に入れておくと、お金に困らないといわれています。試しに石を拾ってそぉーっとのせてみると、なんと一度で成功!さらに、「なで牛」という神の使いである牛の像は、頭をなでると学力が向上するとも。お参りに加え、ユニークな方法で金運や学力のご利益を授かることができました。
学問の神様を祀るだけあり、「北野天満宮」では受験生らしき学生が親や友だちとともに祈願している姿も。一方、韓国では、受験生の代わりにその親たちが、寺院もしくは教会へ合格祈願のお祈りを捧げに行くのが一般的です。
お茶屋が軒を連ねる上七軒を散策しながら、再び「鳥よし」に戻ってご飯をいただくことに。創業より半世紀以上の歴史がある「鳥よし」は、鶏の骨を炊きつめたスープで味わう水炊きが名物。数ある鳥料理の中から、気軽に味わえる「焼鳥丼」を注文しました。しょう油とみりんでシンプルに調理された焼鳥には、しっかりと味が染み込み、甘辛い味付けでご飯が進みます。京都ならではの山椒がぴりっと効いているのもポイント。ボリュームもあり、着物姿のままでいただくと少し苦しくなるほどでした。また、「焼鳥丼」と同じ値段で注文できる親子丼は、かつお節と昆布でとった出汁がきいてやさしい味わい。絶妙な火加減でトロットロに仕上げられた玉子が、ジューシーな鶏肉によくからんでいます。どちらの料理も、観光で疲れた体にじんわり染み渡ること間違いありません。
韓国で鶏料理の代表格に挙げられるのが、サムゲタンです。鶏のお腹の中にもち米やナツメ、朝鮮人参などを詰めて長時間煮込んだ料理で、疲労に効くといわれます。韓国では、早朝からサムゲタンを提供する飲食店も多いですよ。
早春の少し寒い日でしたが、あこがれの着物を着ることができて感動。履きなれない草履も、歩いているうちにコツがわかり、ゆっくり散策することができました。
金 仁子