
伝統の技術を使ったかわいらしい明かり作りと、肌寒い時季におすすめのあったかスイーツとで、心が和む過ごし方をご紹介します。
河原町駅からバスに乗って東福寺方面へ。今熊野商店街から横道に入った住宅街に、京提灯の老舗「小嶋商店」があります。200年以上もの歴史を受け継ぐとともに、現在は創業時の屋号を冠した新ブランド「小菱屋忠兵衛」を立ち上げ、手のひらサイズのテーブルランプ「ちび丸」など、新しい発想のもとで商品を作られています。工房の中に入ると、できあがったばかりの提灯をはじめ、材料となる竹や和紙を貼る道具などが所狭しと並んでいます。中には、私の身長と変わらないぐらい大きな提灯も!体験では、職人さん自ら京提灯や材料の土佐和紙のこと、手がけられた作品のことなどを話してくれたり、提灯の骨格に和紙を貼る手順を見せてもらえたり。一つひとつが感心することばかりで、体験への気持ちも高まっていきました。
中国でも、お店などで提灯がよく飾られていますが、日本でよく見る白い提灯は葬式のときに使うもののため、飾りとしては使われていません。一方、赤は吉祥を表す色と考えられるため、喜びのシンボルとして幸福や平安を願うときに必ず飾ります。
今回は「ちび丸」作りに挑戦!まずは和紙選びから始めるも、1色で染められたものから複数の色のものまで、実にさまざま。さらに、模様状の白い和紙を色和紙と合わせれば、柄を透かした使い方ができると聞き、頭を悩ませます。和紙を手に取りつつ考えること数分、黄色と赤のグラデーションのものと模様状のものとを組み合わせて使うことに!こうして和紙を2枚一緒に使えるのも、京提灯の骨格となる竹ひごの表面が平らで、分厚い紙が貼れるから。木枠に骨格を固定させ、職人さんのアドバイスのもと刷毛を使って、竹ひごにたっぷりとのりをのせていきます。和紙は2枚重ねて霧吹きで濡らし、ぴったりとくっつけたまま貼りつけます。この作業が想像以上に大変で、力を入れすぎると和紙が破れるし、逆に力が弱いとしわになります。慎重に続けるうちに、気づけば約1時間。ようやく和紙が貼れた明かりを乾燥させ、木枠からはずしてもらったら余分な和紙を切り落として完成。試しに灯してみれば、その優しい明かりに作業で緊張した体がリラックスするようでした。
中国で、提灯を飾るお祭りといえば元宵節。これは旧暦の1月15日に行われ、提灯を飾って「元宵」と呼ばれる餡入り団子を食べる習慣があります。今でも、この日には多くの都市で色とりどりの提灯を飾ったイベントが行われています。
次に目指したのは、「小嶋商店」から徒歩5分ほどの甘味処「梅香堂(ばいこうどう)」。こぢんまりとしたお店ながら、ひっきりなしにお客さんが訪れます。こちらの人気メニューはホットケーキで、9月のお彼岸から翌年の4月末ごろまでしか味わえない期間限定スイーツ。プレーンタイプやバナナチョコクリームなど、バリエーション豊かなメニューの中から、小倉クリームホットケーキをいただきました。驚くべきはそのボリューム。銅板に置いた丸い型の中に生地を流し込んで焼くため、厚さは2cmほどまでふくらんでいます。そんな分厚いホットケーキが2枚あり、粒あんとアイスクリームがトッピングされるため、ボリューム満点。さらに、生地はナイフを使っても切れにくいほどふわふわ!甘さ控えめだから粒あんやアイスクリームとの相性もバツグンで、口に運ぶたびに幸福感に包まれます。多くのお客さんが魅了されるのも納得のスイーツでした。
蒸しパンは自宅でも作りやすいため、朝ごはんとして食べる人が多い昔ながらのスイーツ。生地には、レーズンやくるみをはじめ、フルーツなどの材料を使い、カラフルな見た目も楽しめます。
実際に京提灯の技法でかわいい明かりが作れて感動!家に飾って癒やされたいと思います。また地元で愛されるホットケーキに目も舌も満足できました。
楊夢婷