
日ごとに春めいてきた嵯峨野エリア。皇室にゆかりのあるお寺で修行体験をしたり、体にいいと近年注目を集める発酵食を食べて、心も体もリフレッシュしませんか。
住所:京都市右京区嵯峨大沢町4
電話:075-871-0071
時間:9:00~17:00(最終受付16:30)
料金:大人500円、小中高生300円、羯諦(ぎゃてい)写経奉納料500円
休日:不定休
嵐山駅からバスに揺られること約10分。初めに足を運んだのは、1100年以上前に嵯峨天皇の離宮として創建され、歴代の天皇とゆかりの深い大覚寺です。境内は宸殿(しんでん)、御影堂(みえどう)、安井堂(やすいどう)といった建物が回廊で結ばれ、随所に天皇家のシンボルである菊の飾りが施されています。迷いそうになるほど複雑な回廊を歩いていると、まるで時代劇の世界に入り込んだよう。境内をめぐりながら庭園を臨むと、丁寧に手入れされた木々が芽吹いていて、春の訪れを感じられました。美しい自然と雅やかな建物のほか、大覚寺には国宝や重要文化財に指定された美術品があり、見どころがいっぱい。特に目を引かれたのは、金箔の上に鮮やかな色彩で動植物が描かれた障壁画。ほとんどが狩野山楽の作品で、室町中期〜江戸末期(15世紀〜19世紀)に日本で活躍した絵師集団・狩野派の力強さ、作風がよく分かるものでした。日本の美術や建築を間近に感じたい人にはおすすめです。
朝鮮最初の統一王朝である新羅(シラギ)の首都・慶州(キョンジュ)を代表する観光名所に、世界文化遺産の仏国寺があります。新羅時代の建築や装飾が今も残り、当時の仏教文化や先進技術を直に感じられます。京都で見る寺院とはまた異なる味わいがありますよ。
参拝後、大沢池を臨むように立つ五大堂(ごだいどう)で写経にチャレンジ。写経とは仏教の経典を書き写すもので、こちらの写経は、般若心経全文を書くものと、お経の中で最も奥の深い意味が述べられている部分のみを書く羯諦(ぎゃてい)写経の2種があります。今回は初心者でも約10分で書くことができる羯諦写経を体験します。まずは職員の方から作法の説明を聞き、用紙と首にかける袈裟を受け取ります。下敷きや写経に必要な筆などを準備し、塗香(ずこう)で手を清めたら着席。心を鎮めて筆を手に取り、見本の心経をなぞっていきます。写経をしていると自然と呼吸が落ち着いていき、厳かな境内の雰囲気ともあいまって身が引き締まるよう。一筆一筆丁寧に書いていき、最後に願い事と名前、住所を記入したら、仏前に納めて体験は終了です。
韓国では書道を「書藝」、書道教室を「書堂」と呼びます。私は小学校の授業で書道を学びましたが、現在も伝統文化の一つとして人気が高く、趣味で楽しむ人も多いといいます。漢字を書く書道もありますが、韓国ではハングルを書くのが一般的です。
清々しい気分で大覚寺を後にし、次に訪れたのは「発酵食堂カモシカ」。"命は命で元気になる"というテーマを掲げるこちらでは、微生物の働きによって作られ、その命をいただくことで元気になれるという考えのもとで仕込まれる発酵食を味わえます。店内に入ると、まず目についたのは棚一面に並んだ瓶の数々。中身は自家製の味噌や梅干し、果実酒といった発酵食品で、材料や仕込んだ時期が細かく記されています。定番メニューの「本日の発酵8種定食」は、お店のテーマにそった料理が1プレートで構成されたもの。黒いお皿は、自家製味噌を豆腐にのせたものや地場野菜のピクルスなど一口ずつつまみやすく調理されたもの。赤いお皿は、温かい麹納豆のタレがかかったお揚げの発酵あんかけです。あんかけ料理はそのままでもご飯にぴったりですが、甘酒入りの特製ラー油をかけると私好みの味わいに!鯖のへしこや阿波晩茶など初めて口にしましたが、韓国の味を思い出して不思議と心が癒されました。知るほどに面白いイマドキの発酵食の世界にハマりそうです。
キムチやマッコリに代表されるように、韓国では発酵食品を日常的に口にしています。冬にはキムチを自宅で漬ける家庭が多く、中には1年分のキムチを漬けて専用の冷蔵庫で保管する家庭も。またキムチと一口にいっても、辛いキムチや白キムチなどさまざまな種類があるんですよ。
早春の大覚寺の優雅で凛とした佇まいに身が引き締まりました。また発酵食との出合いは普段の食生活を振り返る良い機会にもなり、心身からデトックスできました。
金 世榮