
花街で体験する扇子を使ったお座敷遊びに、清水寺近くで靴を脱いでくつろげるカフェ。思わず写真に収めたくなるような美しい和の世界を紹介します。
河原町駅から高瀬川のせせらぎを耳に木屋町通を南下し、鴨川をわたって向かったのは花街・宮川町にある扇専門店「半げしょう」。黒い格子が印象的なお店へ入ると、所狭しと並ぶ扇子の多さにびっくり!中でもひときわ華やかな金色の扇子が目にとまりました。お店の方に尋ねると「檜扇(ひおうぎ)」と呼ばれるもので、宮中にゆかりのある日本最古の扇だそう。檜(ひのき)の薄板に貼られた本金箔のきらめきや、繊細な図案にじっと見入ってしまいました。ほかにも図案が美しいインテリアの「飾り扇(かざりせん)」、日本舞踊用の「舞扇(まいせん)」、茶会用の「お茶扇(おちゃせん)」、暑い季節に持ち歩きたい「夏扇(なつせん)」など、用途に応じた100種以上の扇が!これらの扇は、なんと80にも及ぶ工程を経て作られるそう。まさに職人の技の結晶なのだと実感しました。
住所:京都市東山区新宮川町通松原下ル西御門町440-13
電話:075-525-6210
時間:10:30〜17:30
料金:投扇興体験コース(お茶・お菓子付)
1名につき2,000円 ※2名以上で予約制
休日:日曜日・祝日不定休
中国の伝統衣装といえば「チャイナドレス」が世界的に有名ですが、近年では漢服も見直されています。一方、その服飾雑貨も注目を集めており、シルクの生地に繊細な刺繍を施した団扇が代表的。中には花びらやバナナの葉をモチーフにした形のものもあるんですよ。
お茶屋の趣が残るお店の二階では、江戸時代からお座敷遊びとして親しまれてきた「投扇興(とうせんきょう)」というゲームを体験できます。遊び方は、扇を約1m離れた場所から的に向かって投げ、点数を競い合います。こちらでは1人10投ずつ、2名で競うスタイル。投げた扇子の着地方法や的の状態ごとに名前と点数が決まっており、お店の方が一投ずつ審判してくれます。さっそく挑戦すると、コツを掴むまでが難しく最初の2回はマイナス点…。それでも回数を重ねるうちにどんどん点数を取れるようになり、総合得点は18点に!「花散里(はなちるさと)」や「夢浮橋(ゆめのうきはし)」など『源氏物語』に関係する名前も印象的で、高得点を狙うのは難しくても、その過程にワクワクできました。
「投壺」は壺に向かって矢を投げ入れて点数を競う伝統的なゲーム。宴会の余興として親しまれてきたことから、本来は敗者が罰としてお酒を飲むのがルール。宴会の主人が客人を3回誘ってからようやくゲームを始めるという複雑な作法で、現在では古町の観光地で体験できます。
住所:京都市東山区高台寺南門通下河原東入ル桝屋町349
電話:075-532-0601
時間:8:00~20:00
休日:不定休 ※2018年2月13日18:00~27日12:00は機器設備入れ替えのため休業
続いて訪れたのは、清水寺近くの「スターバックス 」。こちらにはおなじみの緑色の看板がなく、石畳が美しい二寧坂の景観になじむように立っています。それもそのはず、築100年を超える日本家屋を活用したお店で、畳の間があることから「お座敷スターバックス」としても有名なのです。暖簾をくぐると、まずレジカウンターと待合スペースがあり、客席、中庭、バーカウンター、奥庭へと一直線に続きます。ドリンクを受け取り2階に上がると、注目の座敷席のほかソファ席や二寧坂を臨むテーブル席も。せっかくなので靴を脱いで座敷席に座って「抹茶 クリーム フラペチーノ®」でほっと一息。抹茶の豊かな風味とやさしい甘さが歩き疲れた身体に染み渡ります。ふと床の間に目をやると、コーヒーをテーマにしたユニークな掛軸も。二寧坂の情緒ある雰囲気にマッチするような外観や柔らかい光の演出、座敷や掛軸などいろいろと工夫があり、思わず写真が撮りたくなるような空間でした。
中国屈指の歴史街・福州市の「三坊七巷(サンファンチイシィアン)」歴史文化区にあるスターバックスは、古典的な雰囲気が評判!中国風の内装で水墨画や赤い提灯が飾られ、同店のトレードマークである人魚も看板ではなく石に刻まれているんですよ。
今回はお座敷遊び「投扇興」をして、スターバックスの座敷で飲み物を味わう"座敷の旅"でした。正座は少し疲れたけれど、貴重な日本文化を体験できました。
賀 嘉琪