
四季を通じて外国人観光客に人気の嵐山には、評判のグルメが数多くあります。京都の食材や伝統的な技法を用い、工夫を重ねた味に出会いました。
川の水音に山々の濃い緑が印象的な夏の嵐山。腹ごしらえに訪れたのは、自家製麺のうどん専門店「おづる」です。うどんのラインアップは京都の湯葉や生麩など地元の食材を使ったものをはじめ、外国人からも人気の天ぷらうどんなど全10種。せっかくなので、うどんに、おぼろ豆腐やかやくご飯、漬物が付くボリューム満点な「鴨と九条ねぎのつけ汁うどん(冷)」のセットをいただくことに。まずはメインのうどんをすすると、歯ごたえがありながらものど越しがバツグン!鰹・うるめいわし・さば・昆布からとられる旨味ある出汁に、醤油を加えた甘辛いつけ汁は滋味深い鴨肉のコクが加わって、クセになる味わいです。さらに、京都産の九条ねぎと鴨肉がたっぷりと入っていて、もちもちのうどん、シャキシャキのねぎ、やわらかな鴨肉と、食感のコントラストが絶妙!暑い夏でも食が進み、大満足のランチでした。
台湾の「陽春麺」、「家常麺」は、日本のうどんに似た麺料理。最もポピュラーな「陽春麺」は、具はモヤシとニラ、チャーシューだけというシンプルなもので、スープの有無が選べます。「家常麺」は文字通り家庭でも作れる麺で、太さや形に決まりがないので調理方法、味付けもさまざまです。
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺造路町7
電話:075-354-6533
時間:喫茶11:30〜17:30(L.O.17:00)、体験10:00〜17:00(最終入店)の間でリクエストに応じて実施
休日:不定休
料金:抹茶を点てる体験1,800円※要予約(当日受付可能)、常時対応言語:日本語・英語(中国語は要予約)、時期により内容が変更になることがあります
「おづる」から歩いて「茶三楽」という茶房へ。こちらでは3種のお茶の体験を実施しているとのことで、一番手軽な「抹茶を点てる体験」に挑戦します。茶室に案内してもらうと、抹茶の生産方法などに関するレクチャーがスタート。続いて先生のお手本を見せてもらうと、一つひとつの仕草が優雅で見とれてしまいます。次はいよいよ私の番です!まずは茶碗に抹茶と少量の水を加え、茶筅で練り合わせていきます。これは初心者でも点てやすくなるコツだそう。釜からすくった湯を茶碗に注ぎ入れ、茶筅を前後に手早く動かします。そうしているうちに抹茶の香りが立ってきて、期待に胸が弾みます。仕上げに、表面にできた気泡を潰すとクリーミーな泡立ちの抹茶の完成です!干菓子を口にしてから飲んでみると、甘さと苦さが程良いバランス。体験前はおいしくできるか心配でしたが、ここでようやくひと安心。湯を茶碗に注ぐ音、お茶を点てる動作、抹茶の香りに味わいと、まさに五感を使ったひと時でした。
台湾では烏龍茶を淹れる手法として「工夫茶」という茶芸があり、日本の茶道と同様にお茶を淹れる手順に決まりがあります。はじめにすべての茶器を湯で温めたり、茶葉に注ぐ最初の湯は捨てたり、おいしいお茶を楽しむための手順が昔から受け継がれています。
体験後は喫茶スペースへ。広々とした店内には、テーブル席にカウンター席、お座敷があり、さまざまな日本茶と甘味をいただけます。小腹がすいてきたので、暑い夏でも涼やかなわらび餅をオーダー。なんと、本わらび粉を100%使用しているそうで、注文ごとに作ってもらえます。カウンターでは、目の前でわらび餅ができあがる様子を見ることができ、ライブ感たっぷり!涼感をさそうガラス製の器でサーブされたできたてのわらび餅を、まずは本来の味を楽しむために何もつけないままで。ほのかな甘味とツルッとした食感は、今まで食べてきたものとはまるで別物!きな粉と黒蜜をそれぞれつけてみたり、重ねづけしたりして味の変化を楽しんでいるうちに、あっという間に食べ終えてしまいました。ほかにも、夏季には抹茶をふわふわの泡にした、まさに冷たい抹茶をいただくような趣向の「抹茶エスプーマかき氷」が評判だそう。次はこの噂のスイーツを試してみたいと思います。
「香蕉飴」は、材料の「香蕉油(バナナの香りの食品添加物)」から名付けられた伝統菓子。タピオカ澱粉とトウモロコシの粉で作られ、もちもちとした食感がわらび餅とも少し似ています。ほかにも「焼麻糬」というお菓子があり、焼いたお餅をピーナッツ粉とすりゴマにつけて食べます。
初めての茶道体験では亭主の所作の美しさに感動!地元の食材を使ったうどん、産地を厳選した抹茶、作りたてのわらび餅など、京の味を満喫できました。
胡 裴寧