六甲高山植物園「沖先生のぶらぶら園内ガイド」11月編
OGヤスコです。
今月もOGありこさんと行ってまいりましたー 六甲高山植物園「沖先生のぶらぶら園内ガイド」。今年の最終回
冬の準備(冬眠)を始める植物の姿を見るのがテーマで、主に紅葉(黄葉)や種の観察をしました落葉樹の紅葉・落葉の仕組みのお話しがあってから散策に入りました
紅葉・黄葉
【落葉の前に】
いきなり葉っぱを落とすと、落ちた傷口から雑菌などが侵入し本体が病気になってしまうので(人間と一緒やん!)、かさぶたのようなもの(離層)を葉っぱの付け根に作り、葉っぱと本体がやりとりできなくするそう。
【葉が黄色くなる仕組み】
葉っぱは普段、紫外線をたくさん浴びて葉緑素(葉っぱが緑に見える緑色の物質。クロロフィル)で養分(デンプン・糖分)を作ります(光合成)。植物も紫外線の影響を受けて細胞が傷付くので細胞を守るための物質カロテノイド(黄色の物質)を必ず持っています。落葉の準備が始まると葉緑素が真っ先に消え、残っているカロテノイドが顔を出してくるため、葉は黄色に色付くそう。以下、この日、黄葉していた植物。
コアジサイの黄葉!初夏に顔を埋めて香りをかいだあれですね!他のアジサイは黄葉はしないそうですよ。コアジサイは花も黄葉も両方楽しめます。
シロモジの葉っぱ。夏ぐらいからダンコウバイとシロモジの見分け方を何度もおっしゃっていましたが、ついに一瞬で「シロモジの落ち葉だ!」とわかりました。葉の切れ込みのところがくっきりしているのがシロモジ。葉脈の付け根が入ってしばらくしてから3つに別れるのがシロモジ。
改めてダンコウバイとシロモジの違いを説明してくださる先生。先生の爪が青いのは・・・また藍染をしたそうですよ笑
こちら針葉樹のカラマツ。他のマツは年中緑色で黄色くなるのはカラマツだけだそうですよ。ここで針葉樹のネタを。原始時代からあるそうで、受粉後、種が熟すまで1年以上かかる効率の悪い生き方をしているため、地球上から数が減っているそうです。先祖はシダ植物だそうで恐竜に葉っぱが食べられないようにグングン上に伸び、風で破れないような葉っぱを持っているそう。
カナクギノキはクスノキ科で足元に落ちている細長い茶色い葉っぱは揉むといい香りがするんですよー。こちらも黄葉。
黄葉する植物はアントシアニンを含まないため、寒さに弱く、色付いたらすぐに落葉するそうです(植物園スタッフさんによると3日程度)。そして最後は茶色くなりますが、植物が繊維を守るために持っているタンニンの色で、春まで落ち葉を腐らせないように残し、芽吹くまで落ち葉に含まれる栄養を使えるようにしているそうです。
【葉が赤くなる仕組み】
赤く色付くものはアントシアニンの元のアントシアニジンという成分を持っている植物で、離層が出来てからもしばらく葉っぱは光合成を行いますが、すでに本体とやりとりができなくなっているため行き場がなくなってしまった糖分とアントシアニジンが結合してアントシアニンになり赤くなるそう。水は0度で凍りますが砂糖水は0度で凍らないのと同じで、アントシアニンに変換することで寒さに強くなり、落葉がゆっくりなので紅葉はしばらく楽しめるとのことですよ!以下、この日紅葉していた植物。
一番目立つドウダンツツジ。これだけ大きいものは珍しいそうですよ。(植物園スタッフさんによると開園当初からあったそうで樹齢85年以上!)
高山植物はアントシアニンを多く含むので、ロックガーデンにある植物は冬に赤く色付くものが多く、寒さから身を守りながら休眠していますよ。
【すっかり落葉してしまった樹木】
ブナなどはすでにほぼ全て葉が落ちてしまっていますがそれなりにお楽しみが!
夏の間は高い木の上にある葉っぱは手に取って観察することはできませんが、落葉することによって葉の観察ができますし、
樹形を見られるのも今だけの特典
上の形と同じサイズで地下を根で張り巡らしているそうですよ!(下の写真は現在は終了しているライトアップで撮影)
種
こちらもこの時期のお楽しみ。種は自分より遠いところにやるのが基本(自分の下に落ちると自分の生命が脅かされる)で、色々なタイプがあるそうで植物が子孫を増やす工夫を見てみましょう。えーっと、みなさん・・・ついてきてますか?笑
【風に乗せるタイプ】クサボタン。種に鳥の羽のようなものを1本だけ持っていて風に乗せて種を飛ばす(タンポポのように)。
ユリの仲間。写真はウバユリ。説明はヤマユリでしてくださいましたが、実が割れると隙間に蜘蛛の巣のような繊維がついていて、種が中にきれいに並んでいます。そしてボロボロとこぼれないようになっているんですね。風が吹いた時だけ飛び出して、種も羽みたいになっていて、風が強いときは何kmも飛んでいくそうですよ
モミジの仲間。説明はウリハダカエデの種でしてくださいました。実際に飛ばしてくださったのですが写真は撮れず。笑 プロペラみたいなのを持っていて、クルクルまわりながら飛ぶそうです。先生が形を真似して紙で作って色々おもりをつけたりして実験しているそうですが回らなくて、自然の力はすごいっっ!とのことです。
【獣にくっついていくタイプ】
秋はくっつき虫が多くて山歩きをしているといろんなものがくっついてくる・・・
ミズヒキソウの種はイカリ形で、先生の服にほら・・・。私にはこの種の1つ1つがありこさんや私に見えましたね。先生の大ファンだから・・・。
【自分で飛んでいくタイプ】
ゲンノショウコや先月遊んだツリフネソウですね。今月もやろうと思えばできたんですけどね、私たちは常連だから遠慮しました。1~2mは飛んでいけるそうですよ。
【鳥に食べてもらうタイプ】
マムシグサ。種に発芽能力がついたところで、実が赤くなって目立ち、鳥に食べてもらえるようにしているそう。ただし、一気に食べられてしまわないように胸焼けの成分(サポニン)を含んでいてちょっとずつ食べてもらっては遠くに飛んで糞をしてもらって、また戻ってきてもらってちょっと食べてもらう...。
4月から全てのぶらぶら園内ガイドに参加させて頂き、植物園の楽しみ方がわかりました!植物園のスタッフさんから「1ヶ月に1回くらいじゃあ、まだ見てない植物がたくさんありますよ!」なんて言われちゃいまして、来年からはいよいよ週1で通うかも?な勢いです。笑 こんなに変化に富んでいるなんて「花が終わって枯れてるやん!」「葉っぱがなくなって見るとこないやん」と思っていた今までが嘘のようです
さて、六甲高山植物園の今年の営業は11月25日まで。これから行かれる方は楽しんでくださいね。来年は3月中旬???いえ!実は2~3月に冬期特別開園があるんです。そこで見られるのは・・・バイカオウレンなど。その時期にしか見られないはずなのですが、今年は台風で倒木したため、木陰にひっそりいたはずなのに日が当たり、春が来たと勘違いしたバイカオウレンさん。一部、狂い咲きをしてしまっておりました・・・。
2~3月の予習をさせて頂けた気分です!沖先生も2/23(土)10時30分~/13時30分~に特別ガイドをなさるそうですよー!!!
これまでの記事もどうぞ。
10月の記事はこちら→/ekiblo/2017ogob/28148/
9月の記事はこちら→/ekiblo/2017ogob/27960/
8月の記事はこちら→/ekiblo/2017ogob/27765/
7月の記事はこちら→/ekiblo/2017ogob/27659/
6月の記事はこちら→/ekiblo/2017ogob/27443/
5月の記事はこちら→/ekiblo/2017ogob/27290/
4月の記事はこちら→/ekiblo/2017ogob/27058/
六甲高山植物園
住所:神戸市灘区六甲山町北六甲4512-150
電話番号:078-891-1247
開園期間:2018年3月17日(土)~11月25日(日)
開園時間:10:00~17:00 (16:30受付終了)※イベント開催時は延長の場合有
入園料:大人(中学生以上) 620円/小人(4歳~小学生) 310円
Webサイトはこちら→http://www.rokkosan.com/hana/冬期特別開園の情報はこちら→https://www.rokkosan.com/hana/event/cat_profit_info/1428/ ※開園日・時間はこちらでしっかりなさってくださいね。
※経路はgooglemapが選んだルートで、最適ルートと異なる場合があります。
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この記事へのコメント(2)
ありこ2018年11月22日 12:46
イカリ形くっつきタネありこでございます。
「ヤスコのバーチャル植物園ガイド」毎月ありがとうございます。
あぁ~今年のぶらぶらガイド、終わっちゃっいましタネ~。
2月までどう過ごせばよいのか。。と今日までぼ~っとしておりました。
でも、少しでも植物のことを勉強します!
ヤスコ2018年11月22日 13:48
くっつきタネのありこさん
語尾が全部「タネ〜」になるのかと思いきや、そうでもなかっタネ〜。
とりあえず、沖先生にどうしたらいいか、また聞いてみましょう!笑