芦屋川を歩く〜カトリック芦屋教会〜
さて、旧ハンター住宅が夏休みに入って他の近代建築を見る時間ができたので先日の真夏の芦屋川サイクリングで訪れたカトリック芦屋教会をもう少し見てみようと思います。芦屋教会そのものが出来たのは1945(昭和20)年で、終戦の年ですから大変な時期に出来ていますね。そしてこの教会が竣工したのが1956(昭和31)年。設計は住友関係の建築を手掛けた長谷部鋭吉さんです。
今回は時間帯の違う明るい写真で。光が差すと真っ白です。この教会は外観は左右非対称なのですが、聖堂内で祭壇に向かえばきちんと対称的になっています。やっぱり左右対称だと気持ちが落ち着きます。
2階から見せて頂きました。天井のアーチがきれいです。照明も豪華です。この照明は蝋燭立てを見立てたデザインですね。照明電球は本来下を向いるんですが、この電球はあえて蝋燭と同じように上を向いているんですね。だからこの照明だと聖堂内を明るく照らすことは難しいと思うのですが、ただ天井が緩やかなアーチを描き、かつ真っ白なので間接照明の効果は抜群かもしれません。夜の教会は雰囲気ありそうですね。
聖堂内の後ろはこのように左右非対称です。中央のステンドグラスが印象的です。丸みのある十字架が3つ組み合わさっている形でしょうか。2階の手摺り部分にも柔らかな印象を受ける十字架が並んでいます。右下の部屋には赤いステンドグラスが用いられているので部屋そのものも真っ赤になっていました。何か特別な儀式のためのスペースでしょうか。
再び外部から。じーねこ的見方としては、建物は後ろから見ます。祭壇の部分の半円形の部分が印象的ですが、四角いコンクリートブロックをどうやって円形に組んでいってるんでしょう?窓は3連ではなく2連アーチでまとめていますね。よく見ると窓の上部は三角形のブロックになっています。いろいろと工夫が凝らされていますね。
さらに遠くから見るとこんな感じです。さすが天井川。河原に向かって高くなっています。だから教会がまるで高台に建っているかのように見えます。その教会へ向かっていくスロープもいい感じでくねくねしてます。建物もオレンジ色の瓦屋根が無機質なコンクリートの壁面にアクセントを与えています。そして高くそびえる尖塔。こうして見るとすごいエッジがきいてます。
ここで、この教会に関する小ネタをひとつ。1967(昭和42)年に放映されたウルトラセブンの第14話「ウルトラ警備隊西へ」で少しだけですがロケ地として登場したんです。怪獣は「キングジョー」というロボットの怪獣でセブンが苦戦した相手です。この回は神戸が舞台として登場するのですが、一部、芦屋でもロケが行われたようで、芦屋教会は女性科学者が誘拐されるというシーンで登場します。まさにこの写真に近いアングルです。
そのときの基地か何かで、この芦屋市役所も登場しています。もっとも、今の市役所はその後建て替えられたものなので、映っているものとは違います。ただこの新庁舎も昔の建物の雰囲気は残しているので、当時の映像を見てもわかると思います。
昨年ですが、そのロケ50周年と芦屋市制77周年ということでウルトラセブンにかけてスタンプラリーを行っていました。で、こちらの教会では、地元の方が撮影された当時のロケ現場の様子の写真を展示していたんです。ポインターに乗ったモロボシダンやアンヌ隊員というものすごい貴重な写真が展示されていました。興味があればぜひウルトラセブン第14話ご覧になってみてください。チラッとですが当時の芦屋川の様子もうかがえます。
おっと、裏話なのに長々と書いてしまいました。設計した長谷部鋭吉さんのことも書きたかったのですが長くなりすぎるので次回に回します。自身もクリスチャンだったという長谷部さんの仕事もぜひご覧いただきたいと思っています。最後にライトアップされたカトリック芦屋教会。やっぱり照明に映えるデザインをしてますね。
※経路はgooglemapが選んだルートで、最適ルートと異なる場合があります。