ラインの館がリニューアルオープンします
2019年3月26日火曜日の昼下がりの北野町です。この通りは公開異人館が軒を連ねる有名な通りです。左手に見える手前の張り出し窓を持つ洋館は「英国館」、その奥の下見板張りの家が「洋館長屋」、この写真では見えにくいのですがその奥には「ベンの家」と呼ばれる異人館が続きます。右手にも4棟の異人館が並んでいて、休日になると観光客で道は一杯になります。
そんな中に肌色の壁体に赤い建具がきれいな下見板張りの洋館があります。大正4(1915)年に建てられた旧ドレウェル夫人邸、現在は「ラインの館」という名称で呼ばれている異人館です。耐震対策・保存修理工事のため平成27年6月から休館していて、以前に工事見学会の募集があったときに紹介しました。そのラインの館がいよいよ4月22日(月)13:00からリニューアルオープンすることが決定しました。
外観はもう完成しているようでした。あとは内装と庭などの周辺の整備のようですね。春の日差しを受けてピッカピカでした。神戸市の発表によると「北野町山本通伝統的建造物群保存地区の案内センターとして無料で公開されるようです。無料はうれしいですね(笑)。
神戸異人館は何も風見鶏の館や萌黄の館、うろこの家だけではありません。全部で30棟を超える異人館があって、それが密集しているエリアを「伝統的建造物群保存地区」としてその景観を守っていこうという試みがなされています。ふらっとそのエリアを歩いてみると駐車場のとなりにこのような異人館が現れます。これは1901(明治34)年築の洋館ですが、ラインの館や萌黄の館に比べると、出窓もなく、煙突も1本と、とてもシンプルなのですが、2階の窓とパネルで閉じられたベランダや左側にくっついている附属屋(女中さんの家)を持つところなどは、立派な神戸異人館です。
こちらは1919(大正8)年頃の洋館。2階は同じく閉じられたベランダなのですが、この頃になるともう屋根は瓦ではなくスレートになっています。附属屋も裏にあるのですが、離れているのではなく同じ建物として廊下で繋がるようになります。年代の異なる異人館を見ていくと、洋館がどのように変わっていったのかがわかるのですが、北野地区というのはその変遷を歩きながら確認できるところがすごいところなんです。
工事に入る前のラインの館も無料で入れる異人館でした。風見鶏の館ほど豪華ではありませんが、神戸異人館の特徴をきちんと備えた洋館でした。1階はこのような開放感のあるベランダ。
2階はこのように窓と板で閉じられたサンルームのようなベランダでした。でも左側の壁を見て頂くと同じような下見板張りになっているんです。つまり両階とも屋外という扱いになっているんですね。
そしてじーねこが挙げるラインの館の最大の見どころは、入り口にいきなり暖炉があるという・・・。これが、じーねこにとってこの館、最大の謎なんですよ(笑)。一体どういう用途でこの玄関ホールを作ったのかがわからない。しかも他の部屋へ行くためのドアがワンドアになっているので、狭く感じてしまいます。異人館は1階はゲストのために広く見せるような工夫がされるはずなのですが・・・。まだまだわからないことがあります。
以前も2階にはたくさんの資料が展示されていました。中でも面白いのは、このとある異人館のペンキの変遷。年代によって容赦なく色が変えられるんですね。1933年が目立ちますね。さて新しくオープンするラインの館にはどのような資料が展示されるのでしょうか、楽しみです。
最後に夕陽に照らされるラインの館をご覧ください。大きな窓でベランダが塞がりましたが、フラットになったおかげで光が反射してとてもきれいに見えます。ガラスが高価だったであろう明治・大正時代の人にとってはとても豪華に見えたかもしれませんね。
ふと細い路地を覗きこむと洋館が顔をのぞかせる。そんな街が北野山本通の街並みです。ラインの館がオープンした際にはぜひ訪れてみてください。詳細はこちらをご参照ください。
※経路はgooglemapが選んだルートで、最適ルートと異なる場合があります。