あの唱歌「お正月」を生んだ池田市初の文化功労賞受賞者
池田は、古代から近代にかけて幅広ーく歴史を刻んでいる街なんだけど、今回は人物のお話を。
池田駅から商店街サカエマチ1番街、サカエマチ2番街を抜けて北へ歩く。
アーケードを抜けたところに、重厚な構えの呉春酒造がある。「あ!呉春でしょ!」と思う人もあるかもだけど、今回は松村豊昌の話じゃない・・・んー、とはいえ季節柄、当たらずと雖も遠からずなので、ちょっとだけ紹介するか。呉春というと、日本酒の銘柄としてあるので、お酒が好きな人だと知っていることが多いんだけど、人の名前だということを知らない人が案外と多い。
江戸後期の絵師で四条派の始祖、松村豊昌。
与謝蕪村に師事し松村月渓と名乗るんだけど、天明元(1781)年、奥さんとお父さんを立て続けに亡くしてしまう。落胆しきっていたところ、蕪村の勧めもあり蕪村の門人が多くいる池田の地にやってきた。そして、その翌年の新春、気持ちも新たに頭も丸め、呉春と名乗ることになったわけ。池田の古称、呉服里(くれはのさと)で新春を迎える、これが呉春の由来ですな。
・・・と、呉春の話はそれくらいにして、
五月山公園にやってきた。昔に比べて遊具も増えたけど、この滑り台が健在なのが嬉しい。
小さい頃は、この勾配とあの途中の角度が変わるところが怖かったんだよな(笑)
へー、奥には回転式のローラー滑り台もあるんだねー
・・・という、この場所。この滑り台達の間にモニュメントがあるんだけど、地元の人も気づいていない人多いんじゃないかな。これ、鳩ぽっぽ歌碑。
明治43(1910)年に唱歌集『幼稚園唱歌』というものが出版されたんだけど、「鳩ぽっぽ」はその中に収められている。
残念ながら、みんなが知っている「ぽっぽっぽー鳩ぽっぽー」の出だしで始まる「鳩」ではないんだけど、面白いのは、このみんなの知っている「鳩」は、作詞作曲が分からないというのに、それより前に作られた「鳩ぽっぽ」は、作詞:東くめ、作曲:滝廉太郎と確実に分かっていること。「鳩」が歌詞の中に鳩の鳴き声を「ぽっぽ」と記している点が、「ちょっとー、「鳩ぽっぽ」真似てね?」的な感じなんだけど(笑)
この、「鳩ぽっぽ」の作詞をした、東くめが池田ゆかりの人物だ。
和歌山の新宮市出身なんだけど、夫が池田師範学校長(現在の大阪教育大学)になった際に、池田へ移ってきた。
池田市初の文化功労賞受賞者だ。
東くめの凄いのは、言文一致、つまり、子供達が普段話す言葉をそのまま歌詞にした点。先ほどの『幼稚園唱歌』も、日本で初めて言文一致の唱歌集なんだよね。この取り組みのために、滝廉太郎と組んだ作品が多く残っている。
もーいくつねると お正月
お正月には 凧あげて
こまをまわして 遊びましょう
お正月までのカウントダウンが始まっているけど、
そう、この唱歌「お正月」、これも、作詞:東くめ、作曲:滝廉太郎 なんだよね。
子供たちが喜ぶ唱歌を生んだ東くめ。
動物園含め、五月山公園に子供達と遊びに行くことがあれば、鳩ぽっぽ歌碑もぜひ立ち寄ってほしいな。
みなさん、良いお年を。
※経路はgooglemapが選んだルートで、最適ルートと異なる場合があります。
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