ヴォーリズ建築を訪ねて
ROKKO MEETS ART 芸術散歩の途中ですがここらでちょっと
10月20日 神戸女学院大学で開催された 西宮文学案内
第一回 村上春樹と『阪神間の文化』(神戸女学院大学文学部総合文化学科 内田樹教授)を聴講してきました。
「1Q84」が大ヒット、ノルウェーの森映画化で話題の村上春樹さんは西宮市の小学校、芦屋市の中学校出身です。
この時のお話や、作品に登場する阪神間の風景については、また別の機会にということで・・・
宝塚映画祭のオープニングイベントは「阪神間少年 ムラカミハルキを観る」です シネ・ピピア2では村上春樹原作映画「トニー滝谷」「風の歌を聴け」も上映されます。
神戸女学院のキャンパスといえば、アメリカ人建築家のウィリアム・メリル・ヴォーリズ設計としても有名です。
キリスト教布教活動を志して英語教師として来日。
教会やミッションスクール、百貨店などの1500以上の建築設計やメンソレータム(現 メンターム)の企業活動だけでなく、社会教育・出版・医療・学校教育なども精力的に行いました。
38歳で神戸女学院大学出身の一柳満喜子さんと結婚、のちに帰化して「一柳米来留守(ひとつやなぎめれる)」と名乗ります。
「米より来りて留まる」という意思とミドルネームをかけあわせた独自のユーモアなのだそうです。
住所:西宮市岡田山4-1
電話番号:見学申し込み 神戸女学院総務課 0798-51-8505
アクセス:阪急今津線「門戸厄神」から徒歩10分
レンタサイクル西宮北口利用 10分
1875年神戸山本通りにて女子寄宿学校「女学校」としてスタート。
1933(昭和8)年西宮市岡田山キャンパスに移転してきたわけなのですが、
阪急電鉄の創始者 小林一三氏は上筒井駅(現在の三宮)〜門戸厄神駅間に1日2本「神戸女学院貸切車」を運行しました。
女性専用車両の先がけですね。
阪急沿線のヴォーリズ設計には他に「関西学院大学」もあります。
原田の森から、西宮上ヶ原の現在地に移転する際も小林一三氏が尽力されました。
住所:西宮市上ヶ原一番町1-155
アクセス:阪急今津線「甲東園」から徒歩12分
阪急バスで「関西学院前」下車
レンタサイクル西宮北口でもいけないことはないですが、普通の自転車だとちょっと厳しいです。
原田の森に現存するチャペルは、神戸大空襲によって被災した尖塔部分も完全に復元し、1993年に王子市民ギャラリーとしてオープン。震災10年を機に、「文化創生都市推進プラン」の一環として、2006年12月に神戸文学館として生まれ変わりました。
聖和大学(関西学院大学教育学部:中央の建物)
住所:西宮市岡田山7-54
アクセス:阪急今津線「門戸厄神」から徒歩10分
こちらは徒歩をおすすめします。
マイ電動自転車で登ってみてもかなりきつかったです
また、安全のため、大学でも門戸厄神までの下りの坂道での自転車乗車は自粛されていますのでご協力ください。
参考文献:阪神南近代化 産業遺産物語
阪急沿線のヴォーリズ設計は他に
電車の窓からも見える「高槻市」駅前 大阪医科大学
国の登録有形文化財の建物を利用した「歴史資料館」事前に申し込めば中を見学することができます。
住所:高槻市大学町2-7
電話番号・見学申し込み:072-684-6738
開館時間:9:30〜16:00(入館は閉館の30分前まで)
休 館 日:土・日・祝祭日・大阪医科大学の休業期間
さて、ホール・オブ・ホールズ六甲から「六甲山上こもれびの道」を通っていけるその名も「ヴォーリズ山荘」は「関西学院大学」つながりでもあり
「尼崎紡績」つながりでもあり、過去の記事がリンクして行くのも楽しいのでありました。次回に続きます。
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この記事へのコメント(12)
トマト2010年10月22日 17:30
ゆかりさん
バーチャル駅長時代から読んでます。
さらに進化したブログを書き続けて、すごいですね。
ところで村上春樹さんの小説のお猿の公園などは、芦屋だからレンタサイクルがないから紹介するのが難しいのでしょうか。
できたら紹介してほしいです。
ゆかり2010年10月21日 23:10
るばいさん
ヴォーリス建築のような奥さんと結婚してなーにおっしゃってるんですか。
神戸女学院にしても、聖和大学にしてもお嬢様大学とばかり思っていたので、通うのにこんな体力いるにはちょっと驚きました。自転車置き場ちゃんとありましたわ〜
うちも しゃべるカリスマ主婦母に無口な理系息子
「全然違うなぁ。きっと宇宙人を産んでしまったと思ってるんだろうな〜」って感じだったのですが、本質的に似てるところがあることに気付きました。
やはり幼少期に長い時間を過ごすからではないでしょうか。
るばい2010年10月21日 22:54
ヴォーリズ探訪お疲れ様でした。
たしかにこういう由緒正しい建て方をした建物で学べば、違った人生になったかも(汗)
あちきの大学、昔の建物はそれなりに情緒あったけど
最近のはどうもねえ〜。そういう意味では
ゴジラ男爵氏と全く同じ立場ですな。
>ところで私は、男性は母親からの影響を大いに受けるという>考えでして・・・
これは私の場合はどうでしょうね(笑)
性格は全然違うのは明らか、ただ価値観は割と似ているかな。
別に真似たわけでもないけどね。
ゆかり2010年10月21日 22:15
ゴジラ男爵さん
ちょっとお久しぶりですね。
コメントありがとうございます。
このヴォーリズの記事はおかげさまで食べ物以外の記事にかかわらず注目を集めているようで、うれしく思っています。
皆さまのコメントの濃さからも伺えます。
「決して華美ではないが、端正な造りゆえに美しいと思いますね。柔らかさと折り目正しさも感じる」というのはまさにがらしゃさんのことですよ(笑)
大学がパーソナリティを形成するのではなくて、そのような校風を好まれた方が集まる、というのもあると思いますが、教養だけでなく精神も重視した学校のようですね。
ところで私は、男性は母親からの影響を大いに受けるという考えでして・・・
ゴジラ男爵さんもお母様に厳しいながらも愛情を注がれて、お育ちになったことでしょう。
情緒ある校舎じゃなくて変人奇人ばかりの大学ってどこなんでしょうか・・・(笑)想像を楽しんでおきますか。
そのような知的な方に評価していただけてブロガー冥利につきます。ありがとうございます。
またのお越しをお待ちしています。
ゴジラ男爵2010年10月21日 15:11
おお!やっぱりヴォーリズの建造物はいいですねえ。
決して華美ではないが、端正な造りゆえに美しいと思いますね。柔らかさと折り目正しさも感じる建物というのはヴォーリズならではのものだと思いますよ。
関学や神戸女学院の建物の美しさについてはまさに。
それにしても聖和。
>聖和大学(関西学院大学教育学部
ああ、そうか関学と一緒になったんですね。
でも根っこは確か一緒というか一族だったはずですよ、創始者。
知名度も校舎も神戸女学院と比べると確かに控えめかもしれませんが、いやいや、こちらもなかなかいいではないですか。
校舎は確かに楚々とした感じで大学も中身の濃い教育で。(これについては母親が聖和だったんで聞きかじりですがね)
がらしゃさんがどんな人なのかわかりませんが、その建物の前に立たせたらきっと似合うんでしょうな。
きっと真面目な学生だったんでしょう。文章がそう告げてますよ。
ゆかりさんも毎度の事ながら取材お疲れ様です。
汗水たらして経験したことはこちらにもその息遣いが伝わってくるので、面白くて何度も読みたくなりますね。
しかし本当に羨ましいですよ、こんな学び舎が。
私の母校はそんな情緒ある校舎じゃないですねえ。自分自身を含め奇人変人が多いんで余計ですね。はははは。
ゆかり2010年10月21日 11:42
かいつうCANさん
当時は大学自体も、大学に進学する女性も少なかったですし、今と時代がちがいますのでね。
さすが多角的経営者の考えることは違います。
2人とも実際に行かないと書けないのは当然ですが、「ワコさんのブログって(阪急電鉄の各駅の紹介なので)この回はもう書くのやめとこかってことできないですよね」ってワコさんとお話したことがあるんですよ(笑)
文章は簡単に親しみやすくというのは村上春樹さんを見習って(別格なのでとんでもない話ですが)、見聞したことをそのまま再生するのではなくて、つなげ方に工夫してちょっとでも興味をもっていただけるようにしてますので、そうおっしゃっていただけるとうれしいです。
そして皆さんのコメントのおかげでさらに広がりますね。いつもありがとうございます。
かいつうCAN2010年10月21日 09:43
1日2本「神戸女学院貸切車」を運行
そんなことをあの時代に考え付いたんですねえ。すごいなあ。
そりゃそうと、ワコさんのときもたまに感じるんですが、記事を読んでて息があがりそうになります(苦笑)。あ、いえ、悪い意味じゃなく、坂道をこいでる息遣いとかが伝わってきそうで(笑)。
施設なんかはパンフレットやネットで調べたらたいていのことは「わかる」し、食べ物はとりあえず食べたら「わかる」んである意味、「ブログはもう要らない」となりそうなもんなんだけど。やっぱり足を運んだ人ならではの発見とか表現とか息遣いとかのなにかが読者をくすぐったりかきたてたりするんですよねえ。
足を運ぶとなると時間的にも大変でしょうがこれからも駅長さんみなさんの記事を楽しみにしていまーす。
ゆかり2010年10月21日 01:22
がらしゃさん
何か違う建物を写してきてしまったかもしれません。
フォローありがとうございます。
母校に本当に愛着があるんですね。
あの坂を登って通っておられたとは!
神戸女学院ともつながってるのも実際に足を運んでみて
初めて知りました。
私の場合、文章を書くのにそれほど時間がかからないのですが、移動するのに結構苦労することがあり・・
実際それも好きなのですが、こうしてコメントをいただけるのが何よりうれしいのです。ありがとうございます。
次の「ヴォーリズ六甲山荘」のこと書くのも楽しみです。
ヴォーリズさんって、最初滋賀県で布教活動に力を入れ過ぎて、英語の先生をクビになったんですよね。(人気はものすごくあったそうで)
そういう経験があると普通へこむと思うんですけど、それどころか日本に大変貢献し、「日本人を越えたニホン人」と評価されているの、わかります。
ゆかり2010年10月21日 01:09
塚マダムさん
写りこみ 真似してすみません(ヘッダー画像を意識してます 笑)
神戸女学院、前から見学してみたくて
私もデートのようにドキドキして自宅から電動自転車で
でかけましたよ〜
聖和大学への坂を登るときは、ほんまに止まったらそのまま後ろ向けに
ざあああと行ってしまいそうなので一気にかけあがりました。
満願寺行くのとどっちがしんどいでしょうか(笑)
阪急沿線を語るには「阪神間モダニズム」と「文化」は
欠かせないでしょう。
がらしゃ2010年10月21日 01:03
ああ・・・懐かしい聖和の建物・・・。
神戸女学院ほど目立ちはしませんが・・というか、大学は本当にメジャーではありませんが(知る人ぞ知るという感じ)、聖和も4号館の建物はヴォーリズ氏設計です。
受験前に一度訪れこの建物を初めて見たとき、あまりにもロマンティックで清楚な雰囲気が「ぴ〜ん」ときて、聖和の教育内容も勿論惚れていましたが、同じくらい校舎にときめいて「是非とも受かりたい。毎日眺めたい!」と思ったものです(笑)。
聖和には確かもう一つヴォーリズ氏の設計の建物があるはずですが・・・旧宣教師館が今はセミナーハウスになっているはず・・・こちらもとても美しいのです。
神戸女学院・関西学院大学もヴォーリズ氏ですね。
神戸女学院には北門を通って行き来しておりました(笑)。
ああ・・・聖和の坂は結構きつくて大変だったでしょうね。
女学院は丘の中腹ですが、聖和はそれより上ですので。
もっと身近にあるヴォーリズの建物というと心斎橋大丸本館ですね。
何年か前にニュースで話題になった滋賀の豊郷町の小学校もヴォーリズ氏のもので、老朽化が進んでいるので潰すとか潰さないとかで大問題になりましたが、今は保存されていますね。
ヴォーリズ氏は滋賀県近江八幡市を生活の拠点として活躍していたので彼の足跡がたくさんありますが、和菓子のたねや・クラブハリエの「日牟禮ヴィレッジ・カフェ」にはヴォーリズ設計の旧忠田邸を補修改築し特別室になっています。
(いつかこの特別室を利用してみたいです《笑》)
ヴォーリズ建築は大好きなので熱くなってしまいました。
塚マダム2010年10月21日 00:46
あっ!写り込み。
神戸女学院、なんだかんだ行ったことがないのですが…
阪神間モダニズム建築。これこそが!といった雰囲気ですね。
村上春樹さんってこちらの方なんですか。知りませんでしたよ!
聖和大学は確かに徒歩がいいですね。
かなり急勾配ですもんねえ。
こうして拝見してみると阪急沿線は教育施設が多いだけでなく
建築物そのものに文化的な側面が多く、教養に溢れておりますね。
ああ、私ももっとお勉強しておけばヨカッタ(遠い目)
まあ、阪急沿線(+市バス)圏内の大学なだけ良かったとしましょうか…。
ゆかり2010年10月22日 18:42
トマトさま
このたびは、エリア限定の心配までしてくださって、私のブログをよく読んでくださってるのですね・・・
貴重なご意見ありがとうございます。
先がけて、講座が行われた神戸女学院大学の話題からヴォーリズ建築へと、発展させてしまいましたので、誤解を招いてしまったかもしれません。申し訳ございません。気を使ってくださいましたこと、大変うれしく思います。
まずブログに関する考え方を述べさせていただきます。
「読者の方が再現可能であること」が第一と思ってまして
レンタサイクル西宮北口の例を挙げますと、三宮に行く、ということはかなり現実離れした話です。
また隣の駅の夙川や武庫之荘の駅前もしくは徒歩圏内のお店に移動するためだけに使う、という提案をすることも不親切だと思っております。
駅から離れている場所に移動したり、あるテーマでいろんな場所を回りながら「自転車に乗ること」を楽しんでいただきたい場合は
レンタサイクル営業所所在駅から離れた駅についても紹介しています。
「西国七福神めぐり」や「武庫川サイクリングロード」などがそうですね。
ですからトマトさんのご提案につきましては、
「村上春樹さんの作品に登場する場所巡り」として許容いただけるかな、と考えていまして、ぜひ紹介したいと思っています。
余談ですが、当日の講座は「村上春樹作品に阪神間のどこが登場するのか」のお話というより、「村上春樹の作品の世界性やテーマ」を中心とする話題でした(笑)
コスモスとバラの開花などについて紹介したいところがございますので、もう少し先になると思いますが、しばらくお待ちくださいませ。
これからもご愛読のほどよろしくお願いいたします。