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阪急バリアフリープロジェクト Vol.5

社員教育を通し、ソフト面のバリアフリーを強化

2022.09

すべてのお客様に寄り添うために
一人ひとりができることを。

「高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」が施行されてから10年以上経過し、阪急電車は、日常生活および社会生活の基盤となる公共交通機関として、駅や車両などハード面のバリアフリー化を進めてきました。それと同時に積極的に取り組んできたのが、高齢のお客様や障がいのあるお客様など、移動制約者の方々に寄り添うソフト面のバリアフリー化です。社員教育を行う部署として2007年4月に設置された「人材育成センター」では、接客の基本や券売機などの操作方法だけでなく、移動制約者の方々に対する寄り添い方についても教育し、すべてのお客様に対するホスピタリティマインドを身に付けた駅係員を育成しています。

社員教育の一環としてインスタントシニア講習を実施

高齢のお客様への介助方法を学ぶことを目的とし、新入社員や車掌研修生、運転士研修生などを対象者に2009年から、自らが高齢の方の疑似体験を行う「インスタントシニア講習」を実施しています。専用のゴーグル、耳栓、関節部に装具を装着して視覚、聴覚からの情報や体の動きを制限することで、高齢の方やお身体の不自由な方の感覚を実感し、寄り添い方を学びます。

運転業務・駅業務に携わる社員のサービス介助士資格取得

移動制約者の方々がいつでも安全・安心に、電車や駅をご利用いただけるよう、運輸部員のサービス介助士資格取得を推進しています。今後はごあんないカウンターや定期券発売所などに勤務するサービススタッフにも資格取得を推奨し、運転業務、駅業務に携わる社員・スタッフの資格取得率100%を目指します。

接遇サービスコンテストを通して、接遇レベルを向上

車いす・白杖をご利用のお客様への応対など、日頃の業務で培った接遇レベルや業務知識を披露する場として、年1回、管区ごとの選抜社員による「接遇サービスコンテスト」を実施しています。このコンテストではお客様に対するホスピタリティマインドが発揮されているか、お客様の要望、意図に寄り添った接遇が実現できているかの2点を重視して審査が行われます。またコンテストに際し、出場する駅係員だけでなく各管区が一体となって取り組むことで、駅係員全体の接遇レベルの向上にも繋げています。
※接遇サービスコンテストは非公開となっております。

担当者インタビュー

くみ取るから、寄り添うへ。
お声がけから始まるソフト面のバリアフリー化

阪急電鉄(株)
運輸部 人材育成センター

(左から)
助役 蛭子 泉
部員 奥 万利子
育成係長 上田 香
助役 池田 育
助役 中村 聡彦

ソフト面のバリアフリーを強化するにあたり、私たちは新入社員に「こういう介助が必要なのではないか」とこちらが勝手に推し量って応対するのではなく、まずお客様のご要望を伺い、そのうえで寄り添う接遇をするよう伝えています。実際、白杖をご利用のお客様にご要望を伺ってみると「エレベーターではなく、エスカレーターのほうがいい」とおっしゃることも少なくありません。

しかし、ご要望を伺ったところで、介助のスキルがなければ、お客様に寄り添うことはできません。そこで社員教育の一環として高齢の方やお身体の不自由なお客様の感覚を体感する「インスタントシニア講習」を実施するとともに、管区ごとの接遇スキルを競い合う「接遇サービスコンテスト」を通して全体のレベルアップも図っています。また運輸部員のサービス介助士の資格取得も推進し、駅係員による介助レベルの差の解消にも努めています。

介助が必要でも、駅係員に遠慮して声を掛けてこられないお客様はまだたくさんいらっしゃいます。だからこそ、こちらからお声がけをしてお困りごとにしっかり寄り添う。お声がけの結果、介助の必要がない場合でも乗車するまできちんと見守る。時には降車駅に連絡を取り、見守りを継続する。駅に来られてから改札を出るまで、丁寧にサービスを行うことが私たちの使命だと思っています。最近では介助者なしで駅を利用される移動制約者のお客様の姿も多く見られるようになりました。

「いつもありがとう」とのお礼のお言葉や「いつも、お世話になっているので次回からもお願いしますね」との温かいお言葉を糧に、今後も関西で1番"ありがとう"が集まる鉄道を目指して、一人ひとりの介助スキルのレベルアップに取り組んでいきます。